獣医師長谷川先生に聞く、高齢猫の健康管理で注意すべきポイントとは?

2021/11/12 00:00

 猫は健康なフリをするのが得意とよく言われますが、日々の生活での健康管理で気をつけるべきポイントはどこにあるのでしょうか?

 今回は高齢猫で特に注意すべきポイントについて解説します。 

 「猫は病院に行くことは苦手、健康なフリをすることは得意」格言にもあるように、体調不良をあまり表に出さない動物と言われています。ひと昔まえでは、ある日突然愛猫が姿を消して、探していると軒下でひっそりと亡くなっていたというような話もしばしば耳にしました。

 このように猫は亡くなるギリギリまで体調不良を飼い主さんにさえ悟らせず、そっと姿を消すことがあります。自分が弱っているのを見せてはいけないという野生の名残からなのか、少しぐらいの体調不良は隠してしまうことも多いです。

 猫もヒトも同じように高齢になるにつれて病気を患いやすくなりますが、健康を維持するためには病気の早期発見、早期治療が欠かせません。とりわけ高齢猫では定期的に動物病院で健康診断を受けることが大切ですが、それよりもお家での日々の様子に変わりがないかよく観察することがとても大切です。

 フードを食べなかったり、嘔吐や下痢をしていたりといった明らかな症状があれば気付きやすいですが、そういった症状が見られない場合には日々の生活での微妙な変化が気付くきっかけになることがあります。

日々の生活で何をチェックする?

 一番大切なのは「体重」です。目立つ症状がなく健康なフリをしていても「体重」は嘘をつきません。体重の変化は健康のバロメーターと言われるように体の状態を正直に教えてくれます。

 体重が減っていれば脱水や食べているように見えても量が少なかったり、どこかで隠れて吐いているなんてことも考えられます。一見変わらずに見えても体重を量ることで異変にいち早く気付くことができるかもしれません。

 血液検査やレントゲン、エコー検査には動物病院で特殊な検査機器が必要になりますが、体重であればお家で簡単に量ることができます。

 「うちの猫は体重計でじっとしてくれないので難しい」という場合には、飼い主さんが猫を抱っこした状態で一緒に体重を量り、そこから飼い主さんの体重を引くことで簡単に量ることができます。

 また、最近ではペット用品でもIoT技術が進み、自動的に体重を量るデバイスなどもあるのでこういったものを使うとより正確に日々の変化を見ることができますね。

どれくらい体重が減ると要注意?

 高齢期になると歳を重ねるとともに筋肉量も落ちてきて病気でなくとも徐々に体重が減ることもありますが、急激に減る場合は要注意です。

 一般的には体重の5%以上の減少は要注意と言われており、どこかいつもと違うなどの異変があるようであれば動物病院での健康診断を考えてあげてください。特に10%以上の減少は何らかの病気が隠れている可能性があるので気付いた段階で早めに動物病院に相談しましょう。

 これらのことを踏まえて日々の体重の変化から猫ちゃんの声無きSOSに気付き、より健康で幸せな生活に繋げてあげましょう。

文=長谷川諒/獣医師

 

(プロフィール)獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。

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