猫本屋お薦め、猫に酔いしれる本5選!アート本や画集、絵本、健康、文芸まで

2021/11/06 00:00

 猫が登場する書籍のみを扱う書店として話題を集める、書肆(しょし)吾輩堂。「猫本のみを扱う書店がない」と考えた店主がネット書店を始めたのは2013年2月22日のことです。最初は古書のみの取り扱いでしたが、新本や厳選した猫雑貨もラインナップに加えていきました。さらに18年12月3日には実店舗を福岡市にオープン。猫好きの妄想と欲望で成り立つ書店づくりを掲げる店主が厳選した5冊をお届けします。アート本、画集、絵本、健康、文芸とさまざまなジャンルから選出していただきました。

名画のネコはなんでも知っている/井出洋一郎著

2015年/エクスナレッジ刊/1760円(税込み)

 店主が「美術史に詳しい方も、そうでない方も楽しめる猫+美術の本です」と言い、著者の井出洋一郎氏が対談相手である川本桃子氏とQ&A方式で繰り広げる猫名画に対する分かりやすい解説や質問の切れ味の良さを絶賛しています。

 集められた図版は、ルネサンスから18世紀の西洋近世で34点、西洋近代から20世紀にかけて31点、日本画である浮世絵から11点の計76点におよびます。ゴッホやミレー、ゴーギャン、ルノワール、歌麿、北斎、国芳などの絵画もあり、美術史に詳しくない人でも知っている絵があるはず。表紙の絵画は、ルノワールの「猫と少年」です。

 井出洋一郎氏が “はじめに”で、「絵画に描き込まれた一匹の猫が、絵画全体の文脈に、ある重要な意味を果たしているのではないか? そしてそれは、作者本人も気づかない望外の価値を生み出しているのではないか?」と記しており、川本桃子氏との対話ではそれらの問いを探すべく、描かれた猫にまつわるイメージや物語を分析しています。隅に描かれた猫も見逃さず、猫とその時代の背景にある学問、政治、経済、宗教、社会などとの関わりを語ります。「まさかのネコ目線でひも解く、新感覚な名画解説書です。美術館巡りがもっと楽しくなる一冊です」(店主)

出口かずみ画集 小八/出口かずみ著

2019年/えほんやるすばんばんするかいしゃ刊/2530円(税込み)

 出口かずみ氏、初の画集です。一緒に暮らす猫「小八」の思いを想像し、描いた作品集。小八は2012年杉並区高円寺生まれで出口かずみ氏のインスタにも登場します。表紙左下には、遠慮がちに描かれた小八の絵。題名と著者名がローマ字でつづられており、一瞬、「海外の作品?」と、思ってしまうかも。

 掲載作品のタイトル一覧を眺めてみると、「ホシにまだ動きはない」「マークされている」「ポチっとな」「共演NG」など、どんな作品なのか気になるものが多く、想像が膨らみます。

 作家の愛猫「小八」が作家の脳内で七変化を繰り広げる画集について店主は、「小八への作者の痛いくらいの愛情をひしひしと感じる一冊です。分野は違いますが、私はふと漫画の『猫山さん』(新井理恵著)を思い出しました」と紹介しています。猫好きなら愛猫がこんなふうになったら…と想像する可能性も指摘しています。

私はネコが嫌いだ。/よこただいすけ著

2016年/つちや書店刊/1540円(税込み)

 「猫を飼った人なら誰でもこのお父さんの気持ちが分かるでしょう」という店主が、号泣注意本として挙げた一冊です。絵本の名前を聞いただけでは、涙がでてしまう本と想像する人は少ないかもしれません。表紙には、くりくりとした目で下から見上げている愛らしい黒い子猫が描かれています。一方、その絵に反した『私はネコが嫌いだ。』というタイトル。そのギャップに違和感を覚える人も多いのでは。

 子ども用の絵本ですが、大人も必見。「嫌いだ」と言いながら、きちんと世話をしているからこその大変さが伝わることでしょう。

 2021年版のROLLYさんが書いたコメントの帯、「私はこの本が嫌いだ」も話題になりました。書肆吾輩堂でもROLLYさんの帯本に注文が殺到したようです。「何度も何度も読んだから『もう大丈夫だろう』と思っていた…なのによみ聞かせの本番で涙が溢れてちゃんと読めやしない」と、嫌いな理由も添えられていました。

猫が30歳まで生きる日/宮崎徹著

2021年/時事通信社刊/1980円(税込み)

 「腎臓病に苦しむ猫たちを当店も何匹も見てきました」と言う店主。そのような猫を見て苦しんできた愛猫家は数知れないことでしょう。新型コロナウイルスの影響を受け、東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センターで進めていた猫の腎臓病の治療薬開発プロジェクトが一時中断をせざる状況に陥っているというニュースが7月11日に配信され、愛猫家たちからの寄付が殺到しました。

 本書では、「AIM(apoptosis inhibitor of macrophage)」の研究が猫の腎臓病をはじめ治せないとされてきた人の病気の治療に役立つ可能性を問いています。老齢になるとほとんどの猫がかかるといわれる腎臓病。なぜ多くの猫が腎臓病になるのかについては、獣医学の世界では長らくの謎でした。一方、著者の宮崎教授は人の病気を治療する医者であり、いまの医療では治せないと言われている病気を治すことができる可能性を示す分子、AIMを発見します。研究課程で獣医師と出会ったことがきっかけで、猫のAIM研究にのめりこんでいくのです。

 人と猫の寿命を大きく変える可能性のあるAIMの発見、AIMを医療に生かすための研究、そして猫のAIM創薬実用化に向かうまで、研究者としての長い道のりが記されています。

小松左京の猫理想郷(ネコトピア)/小松左京著

2016年/竹書房刊/2750円(税込み)

 「とにかく超豪華な内容で、これでこの価格は安い」「お腹いっぱいになる一冊です」と店主が言うとおり、ラインナップが豊富です。小松左京が過去に新聞や雑誌に寄稿した猫にまつわるエッセイをはじめ、SF作家である星新一や筒井康隆らとの対談、小松左京が描く猫漫画、小松左京の愛した猫たち、小松左京の猫年代記など、日本SF界の巨匠と猫との怪しい関係をたっぷり味わえます。

 「星新一・筒井康隆と共に『御三家』と呼ばれる、日本SF界を代表するSF作家小松左京は、根っからの猫好きとしても知られ、結婚してから亡くなるまでの半世紀あまりを常に猫と過ごしたといわれています」(店主)。小松左京の猫年代記に登場する猫は、なんと15匹!今も昔も猫好きな作家は、多いですが、15匹は恐れ入ります。そんな猫好きのネコトピアの表紙は、猫ひげを生やした小松左京。店主はその違和感のなさにも注目しています。

書店情報/書肆(しょし)吾輩堂
・ネットショップ
https://wagahaido.com/shopping/

・実店舗
福岡県福岡市中央区六本松1-3-13
古物商 福岡県公安委員会許可 第901041210006号 福岡市古書籍商組合加盟
TEL:FAX / 092-791-1880
mail /nekohon@wagahaido.com

文=いぬねこプラス編集部

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