旅気分でのぞく世界の猫街、トルコ編…イスタンブールと猫

2021/11/02 00:01

(画像=著者提供)

 トルコの都市イスタンブールと聞くとどんなイメージを浮かべられるでしょうか?歴史の街?世界遺産の街?実はイスタンブールに住むトルコ人が作り上げてきた世界に誇れる文化があります。それはイスタンブールが “猫の街” であるということ。

 イスタンブールを訪れた方はすぐお気づきになると思います。街のあちこちで猫 を見かけます。猫がひょっこり現れて、足元にすり寄ってきたり後をついてきたり…。あまりのフレンドリーさに「あれ?この子はどこの子?」とあたりを見回してしまいますが、実はこうした猫たちはお外で暮らしています。

 イスタンブールの街角には、こうしたお外猫たちがたくさん住んでいます。おうちがないので、いわゆる “野良猫” なのですが、野良猫という呼び名はそぐいません。お外猫たちはあっちへ行けと追い払われるのではなく、”地域猫” としてトルコ人にかわいがられています。イスタンブールの街には、至るところに猫用の餌や水が置かれています。猫のための家もあちこちで見かけます。猫のための家?と思われた方は、私の友達が撮った Youtube 動画から切り取った下記画像をご覧くださいね。イスタンブールの猫の家がどんなものかイメージしていただけると思います。

(画像=著者提供)

 こうしたイスタンブールの猫たちは、人間の生活の場に自然に溶け込んで、なでてもらい、餌をもらい、気が向いたところで毛繕いをし、気ままに暮らしています。カフェに出入りする猫も多く、気が向いたらカフェに立ち寄ってお店の中を巡回。一人前に椅子を与えてもらい、ぐうぐうと昼寝する猫もいます。

(画像=著者提供)

 この写真の猫は、とあるカフェにいつも出入りしていました。可愛がられすぎているので、非常につれない。触ると迷惑そうに顔を上げてまた眠りにつきます。

 トルコ人は全体として猫や犬に寛容な国民ですが、イスタンブールは特に猫好きのトルコ人が集まったスペシャルな街。といいますか、この街に住んでいると猫嫌いでも猫好きになってしまう…そんなくらいイスタンブールの猫たちは人々の生活に溶け込んでいます。猫なしにこの都市の魅力を語ることはできません。

 猫好きにはたまらない街ですが、難点も。待ち合わせ時間のかなり前に家を出る必要があります。道を歩いているとあちこちで猫を見かけるので、かまっているとあっという間に時間がなくなってしまいます。

(画像=著者提供)

 イスタンブールに住むトルコ人たちの多くは猫にメロメロです。女性・男性を問わず猫好きが多いのですが、中東の男性ってひげが濃くてかなり強面 (こわもて) ですよね。そんな男性たちが猫の餌を持って公園などにやってくる様子はとても微笑ましいのです。

(画像=著者提供)

 上の写真の猫は、私のイスタンブールの家の自宅からほど近い場所にあったハンバーガー専門のレストランで可愛がられていた猫です。お客さんからもお店のスタッフからもおこぼれを頂戴しているので、メタボになっています。レストランの入り口に陣取って、来る人を迎えます。もちろん店内も気が向いたら巡回します。

 先ほども触れましたが、イスタンブールの猫は溺愛されているので、非常につれないというのも特徴です。実際このレストランの猫は、触ろうとすると引っかいたりかみついたり、狂暴なこと極まりなし。それでも店主にもスタッフにも愛されて可愛がられていました。ただしこのレストランはその後閉店してしまいました。この猫はその後どうなったのでしょう。でもきっと地域猫として別のお店にちゃっかり出入りしていることと思います。

動物愛護法や自治体の取り組み

 イスタンブールはトルコの他のどの都市よりも動物に優しい街。でも、いつでもそうだったわけではありません。イスタンブールでもお外猫やお外犬たちを道路から追い払ってしまおうという試みがあったようです。しかし、2004年に「動物愛護法」が制定されたことにより、自治体がお外猫たちの面倒を見ることが義務付けられました。また今年の7月にはさらに一歩踏み込んだ「動物の権利法」が可決されました。これにより、動物虐待などのケースは犯罪として扱われ、懲役刑なども課されます。

 トルコでは自治体が犬猫の去勢・避妊手術を行っています。ただし、自治体によってかなりの差があるのは事実です。イスタンブールでは去勢・避妊手術が済んだお外猫の耳は端っこがカットされていますので、すぐに分かります。「猫先進都市」のイスタンブールは他の地方都市のモデルケースということができます。行政と住民が自然に協力して出来上がったイスタンブールのこのスタイル。私は2年住んだ後にイスタンブールを離れて別の都市に移りましたが、ときどき無性に懐かしくなるのが個性的なイスタンブールの猫たちなのです。

(文=木村菜穂子/フリーライター)

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