獣医師長谷川先生に聞く、高齢猫の健康管理で注意すべきポイント~おしっこ編~

2021/11/18 00:00

 

 健康なフリをするのが得意な猫ちゃんの日々の健康管理、気を付けるべきポイントとして前回は「体重」についてお話ししました。体重はおうちでも簡単に量ることができるので分かりやすいですね。高齢猫ではさらにもう1つおうちで簡単に確認できることがあります。むしろおうちでの普段の生活の中でしか確認できないと言っても過言ではないおしっこの変化についてお話しします。一体、おしっこのどういった変化に注意すべきなのでしょうか、そのポイントについて詳しく解説します。

「トイレ掃除で異変を感じる」

 日々のトイレ掃除がきっかけとなり病気に気付くことがあります。最近、トイレシートが重い、猫砂の塊が大きくなった。こういったおしっこの量が増えた様子はありませんか?実はこれ、多飲多尿と言われる状態かもしれません。いわゆる尿量の増加は元気で食欲があっても病気の初期症状であることが少なくありません。ではいったいどんな病気が考えられるのでしょうか?代表的な3つの病気について見ていきましょう。

・腎臓病

 10歳以上の高齢猫の30〜40%が罹患していると言われ、未だに猫の死因のトップである腎臓病。一口に腎臓病と言ってもその原因はさまざまありますが、高齢猫で特に多い慢性腎臓病は進行がゆっくりで、なかなか気付けないことも多いです。そんな慢性腎臓病ですが、比較的初期の段階で見られる症状として多飲多尿があります。しかし、この時点では元気で食欲があり、あまり病気に見えないので発見が遅れてしまうこともあります。また、一度失われてしまった腎機能は二度と回復をしないため、早期発見・早期治療がとても大切になります。

・糖尿病

 糖、つまりブドウ糖は体の中のさまざまな器官の働きに必要不可欠なエネルギー源です。一方で糖尿病とは、このブドウ糖をエネルギー源として利用することができないので高血糖の状態が続き、さまざまな代謝異常を引き起こします。高血糖が続くとブドウ糖が尿中にも現れるようになります。そうなると尿中へ身体の水分がどんどんと失われるので、初期症状としてほとんどの場合、多飲多尿が見られます。糖尿病は進行すると命に関わることもある怖い病気なのでなるべく早期に発見してあげたいですね。

甲状腺機能亢進症

 甲状腺は身体の代謝を活発にするホルモンを分泌しており、その機能が亢進(過剰になること)することにより甲状腺ホルモンの分泌が増加する病気です。10歳以上の高齢猫でしばしば見られ、身体の代謝が亢進されすぎることで活動的になり、ご飯もよく食べるようになる一方で、身体は痩せていくという症状が見られます。実はこの病気あまり知られていませんが多飲多尿が見られることがあるので高齢猫でよく食べよく飲んでいるのに痩せていくということがあれば一度、動物病院を受診しましょう。

 多飲多尿が見られることが多い病気、3つについてお話ししました。ここで紹介したものの他にも多尿が見られる病気はたくさんありますので、おうちで多飲多尿かもしれないと感じた時は一度、動物病院での健診を考えてあげましょう。

 日頃から一日の飲み水や尿の大体の量を把握し、飲み水が減るのが早くなった、トイレのおしっこが増えたなど猫ちゃんの声無きSOSにより早く気付いて健康で幸せな生活に繋げてあげましょう。

文=長谷川諒/獣医師

 

(プロフィール)獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。

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