獣医師長谷川先生に聞く、猫のおしっこの病気…冬は特に用心を!

2021/11/29 12:00

(写真はイメージ:pixabayより)

 気温が低くなり、お部屋の中でも寒さを感じる冬。そんな冬はその環境が原因となり病気になってしまうことがあるのをご存知でしょうか?今回は冬場に気をつけたい病気とその対策についてお話ししようと思います。

冬場に増えるおしっこの病気

 膀胱炎に代表されるようないわゆる下部尿路疾患は気温が低下する冬場に増えると言われています。下部尿路疾患とは膀胱から尿道にかけて起こるさまざまな病気の総称でその原因として尿石症が関係していることが多いです。ではなぜ冬場になると尿石症のリスクが増えるのでしょうか?そこには気温の低下との意外な関係が隠されています。

冬場は水が冷たーい

 寒くなってくると丸くなって寝ている猫の姿を見かけることが多くなりますよね。冬場は活動性が低下するだけでなく、飲み水が冷たくなりやすいので、あまり積極的に水を飲まなくなります。また、あまり動きたがらないためにトイレに行くことも面倒になり必要最低限の回数しかおしっこをしなくなる子もいます。そういった状態ではより濃いおしっこが長時間、膀胱に蓄尿され尿中に結晶成分が析出しやすくなります。これが原因となり尿石症、ひいては下部尿路疾患のリスクが跳ね上がると考えられています。では一体どのようなことに気をつければ防ぐことができるのでしょうか?

冬場の水飲み対策

 まずは暖房で室温を保つことです。寒さが解消されれば猫も活動的になり水を飲んでくれることにも繋がります。なかなか温度設定が難しいですがヒトが適温と感じるよりも少し暖かめの室温を好むと言われています。猫によっても感じる適温が異なるので暑いと感じたら逃げられるような場所を用意してあげるとなお良いですね。また水自体もこまめに替えてあげましょう。38℃前後のぬるま湯を好む猫も多いので、できれば替える度に温水にしてあげるとより飲んでくれるようになるかもしれません。その他にも水飲み場まで距離があったり、他の猫が水を飲んでいると遠慮して飲まなくなってしまう猫もいるので水飲み器は複数個、さまざまな場所に用意してあげることをお勧めします。

腎泌尿器疾患にとって冬場は大敵

 今回は冬場に増加する下部尿路疾患についてお話ししましたが、高齢猫ではさらに注意が必要となることもあります。一般的に高齢猫は慢性腎臓病などの腎臓の病気を患っていることが多く、そういった病気では水を飲む量が少ないと脱水で命取りになります。ここから分かるように冬場の飲み水の問題は膀胱炎などの下部尿路疾患だけでなく、腎泌尿器疾患全体に深く関わっています。

 おうちの環境、室温や水飲み場を少し工夫してあげるだけでも病気を防げることがあるので、ぜひ実践してみてください。

文=長谷川諒/獣医師

 

(プロフィール)獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。

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