獣医師奥田先生が解説、子犬が飼い主を咬む理由6つ

2021/12/21 12:00

(画像はGettyImagesより)

 子犬を飼い始めた飼い主さんに、「咬まれたらどうしたらいいですか?」と聞かれることがありますが、咬まれた後に、咬むのをやめさせるのは間違いです。咬んだらマズルをつかむ、たたくなどの方法は、手に対する嫌悪感を植え付け、声で叱ると余計に興奮させてしまい、咬みつきを増やす原因になります。子犬が咬む原因(動機)を把握して、咬まなくてもいい状況をつくることが正解です。

 子犬の咬みつきの動機は、大きく分けると、以下の6パターン程度に分かれます。

①関心を引きたい

 飼い主さんが携帯やテレビを見ていて、子犬の相手をしていないときに咬むパターンです。子犬をケージから出したら、放置せず、遊ぶようにしましょう。犬に構えないときはケージで休んでもらいましょう。

②走り回って興奮

 犬がひとりで走り回って興奮した後に咬むパターンです。部屋の中で走り回らせ運動会をさせることは禁物です。興奮を抑えるには、家の中でもリードをつける、行動範囲を2~3畳程度に制限することが有効です。

③遊びで興奮

 ロープなどのおもちゃで一緒に遊んでいるときに、徐々に興奮して手に咬みつくパターンです。遊びの最中に興奮しすぎないように、ロープ遊びもこまめに中断し、オスワリをさせてから再開するなど、興奮の制御をしましょう。

④なでられたくない

 飼い主が犬の顔付近に手を出した際に咬むパターンです。顔をワシャワシャ激しくなですぎているときに起きる咬みつきです。犬は目・鼻・口・耳という感覚器官が集まった顔付近を激しくなでられたいわけではありません。犬の感覚に配慮し、なで過ぎないようにしましょう。

⑤拘束されたくない

 拘束されることを嫌がって咬むパターンです。かなり危険な咬みつきです。無理やり抱っこやブラシをすることは厳禁です。繰り返せば悪化します。早めに専門家の指導の下で、触られること、拘束に馴らすトレーニングを開始しましょう。

⑥フードや物を守りたい

 フードやフードボウル、ティッシュなど拾った物を守ってうなる、咬むパターンです。非常に危険な咬みつきです。無理やり取り上げることは咬みつきを悪化させます。フードボウルは使わず、フードは手から与えるようにしましょう。片付けを徹底し、物を拾わせないようにします。早めに専門家の指導を受けましょう。

 ①~③は子犬によくある咬みつきで、遊びや関心を引く動機から起こっており、十分に子犬のニーズを満たし、咬みつきを予防することで、自然と収まっていきます。

 一方、④~⑥は、手でなでられること・拘束に対する嫌悪感や、資源を守るための、防衛的態度としての攻撃です。放置すれば悪化します。素人考えで対処するのではなく、専門家の指導を受けるようにしましょう。

文=奥田順之

(プロフィール)

ぎふ動物行動クリニック院長。獣医行動診療科認定医・日本獣医行動研究会広報委員会委員長・鹿児島大学講師(動物行動学)。2012年NPO法人「人と動物の共生センター」設立し、犬のしつけ教室ONELife/ぎふ動物行動クリニックを開設。しつけ教室では、犬と人が共に育み合う=“共育”をモットーに、レッスンを実施している。

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