獣医師長谷川先生に聞く、高齢猫の医療費は備えあれば憂いなし?

2022/01/07 20:00

(画像はイメージ/GettyImagesより)

 猫は体が丈夫で若いうちは体調を崩すこともあまりなく、10歳を超えたいわゆる高齢期になってから体調を崩し、初めて病院にかかるなんてことも少なくありません。「最近、愛猫の体調が悪そう…動物病院に連れていかなきゃ、でも動物病院っていくらぐらいかかるんだろう」。こんな不安を感じた飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。今まで病院にかかったことがない高齢猫の場合、一体いくらぐらいかかるものなのか見当もつきませんよね。

 愛猫の心配はもちろんのことですが、どうしても費用についても心配なところです。一般的なお店と違い、値札がついているわけでも料金表一覧があるわけでもないので一体いくらかかるのか分からないほど不安なことはないでしょう。では実際、どれくらいかかるものなのでしょうか?

費用は「病院によって違う」

 動物病院の診療料金は独占禁止法により、獣医師会などが基準となる料金を決めたり、獣医師同士が協定して料金を設定したりすることが禁じられています。全国の動物病院では獣医師がそれぞれに料金を設定し、サービスや料金で競争できる“自由診療”と呼ばれる体制となっているので病院によって料金に違いがあるのは当然でもあります。ですがこれは言い換えると動物病院が自由にサービスと診療料金を設定することで、飼い主さんもそれぞれに合った病院を選択できるということでもあります。

料金の違いはなんの違い?

 自由診療である以上、例えば全く同じ血液検査でもある病院では5000円、違う病院では1万円というような違いが病院により生じます。この病院による診療費の差は自由診療だからと言えばそれまでなのですが、もう少し踏み込むとそれなりの理由が見えてきます。やはり診療費に違いが出る大きな要因は病院規模や医療レベルです。診療費が高い病院が必ずしも“いい”病院であるということではありませんがそういった病院は規模が大きく医療レベルが高いことが多いです。もちろん全ての病院において診療費が医療レベルをそのまま反映しているわけではありませんが最新機材や優秀な獣医師を確保するためにはコストがかかるのである程度は反映されているのではないでしょうか。

高齢期の医療費の実態

 高齢になり歳を重ねるにつれて体が衰えるのはヒトも猫も同じことです。どうしても体調を崩しやすくなり、医療費もかかるようになります。あるペット保険会社の調査によると年間にかかる平均医療費は、1〜2歳齢の若齢では約1万3000円ほどなのに対して12歳齢では約7万8000円と6倍にも上がります。12歳でも全くの健康で医療費がほとんどかからない猫ちゃんもいれば、CTやMRIといった特殊な検査が必要になる病気や大きな手術などで思わぬ高額な医療費がかかる猫ちゃんもいます。また高齢の猫に多い慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症など日々治療を継続する慢性疾患では医療費も継続してかかってきます。いざというときのために猫ちゃんが若くて健康なうちから将来の備えをしておくのもいいかもしれませんね。

文=長谷川諒

 

(プロフィール)獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。

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