多田あさみの「にゃんことの暮らしQ&A」第1回 初めて猫ちゃんを迎え入れるための準備 後編

2022/01/16 12:00

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GettyImagesより

 タレントで「猫カフェ mfmf(モフモフ)」の動物取扱責任者である多田あさみさん。そんな多田さんが読者からの猫ちゃんに関する質問のお答えする連載「にゃんことの暮らしQ&A」。第1回目のご相談は「猫ちゃんを家に迎え入れたいのですが、初めてなので何もわからず不安です。迎える前の準備など基本的なことを教えて欲しい」というもので、前編ではどんなお家でも猫ちゃんを迎え入れられるのか、猫ちゃんをお迎えする際に必要な費用などのお話をしていただきました。

 後編では、準備すべきグッズや心構えについて教えてもらいます!

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猫ちゃんを迎え入れるにあたり必要なグッズは?

 猫ちゃんを迎え入れためにはご飯やトイレの砂といったグッズが必要になりますが、お店には様々な種類のものが売っているのでどれにしょうか迷ってしまいますよね。多田さんによると、猫ちゃんを引き取るところに教えてもらうのが一番だと言います。

「グッズは各猫ちゃんによって使うものが違うので、引き取るところに教えてもらった方がいいと思います。まずは何も用意せずに送り出す側と相談し、この子はどの形状のトイレを使う? トイレの砂の種類は? ご飯は何を食べる? ケージは必要? と育てている方に確認してください。人間が用意しているものに猫ちゃんを合わさせるのではなく、お迎えする猫ちゃんに合わせて用意するというイメージです。合わないものを買ってしまうと、買い直すことになったりトイレの失敗の原因となり粗相の癖がついてしまうなど、飼い主さんが苦労することになるかもしれません。

またペット保険への加入は、飼い主さんの生活スタイルと猫ちゃんにかけられるお金がどのくらいかで判断すればいいと思います。ただ、猫ちゃんが誤飲、誤食をして開腹手術をするようなことになると、手術代と入院費などで結構な額になってしまいます。よほど気が荒くて病院に連れていくことが難しいといった子以外は、入っておくと安心です。

グッズと同様、猫ちゃんを引き取るところにその子の性格について聞いてから加入を判断してもいいかもしれません。おもちゃに興奮して唸りながら噛みしめることがある子の場合は、誤飲の危険性が高くなります。その他、人間の食べ物に興味がある、小さい頃から風邪をひきやすいといった傾向があるのであれば、保険への加入を検討してみてください。

その他、脱走対策は時間がかかるので事前に施しておくと安心です。脱走防止のドアや網戸をペット用に張り替える、吹き抜けのあるお家は落下防止のネットを設置するといったことです。人気のお店だと測ってオーダーするのに3カ月待つこともあるので、早めに確認しておくに越したことはありません。譲渡会によっては脱走対策が事前に行われていないお家には譲渡不可などの決まりがある場合もあります」

 猫ちゃんが脱走してしまうパターンはどのようなものがあるのでしょうか。

「多くは飼い主さんが出勤、帰宅する際に足元からドアをすり抜けてしまうというパターンです。または、飼い主さんの意識の甘さから、ベランダで猫ちゃんを遊ばせている際に落下することや、網戸をひっかいて穴をあけて脱走といったことも。

あとは、リードを付けてお外をお散歩させているときに猫ちゃんがパニックを起こし、そのままいなくなってしまう場合もあります。猫ちゃんをお外でお散歩させるというのは、とてもリスクが高い行為です。前述のように脱走の可能性もありますし、1回外に出て地面に身体が触れたら、今までしてきた寄生虫対策がゼロになってしまい、猫ちゃんの健康を考えるのであれば、お金をかけて初めから検査をし直す必要があります。また、野良猫ちゃんと接触したとしたら、エイズ、白血病など治らない感染症をもらうリスクも。接触だけでなく飛沫でも感染するパルボウイルスも危険です。

「お外で自由な気分を満喫させてあげたい」という善意からなのはわかりますが、慣れない環境に連れていかれ、本当にその猫ちゃんが喜んでいるかどうかはわかりません。それよりも、お外には猫ちゃんの健康を害するリスクが沢山あり、再検査や治療費、多頭飼いの場合はお外に出ていない猫ちゃんの検査なども必要になるため、飼い主さんの金銭的負担も重くなります。これから猫ちゃんを迎え入れる方は、お外でのお散歩は避けていただきたいです」

猫ちゃんはしつけできる?

 わんちゃんの場合は、しつけによって芸を覚えさせたり、入ってはいけない場所をコントロールするということがあります。一方、ねこちゃんの場合はどうなのでしょうか。

「猫ちゃんは反復学習が苦手な子が多いです。YouTubeなどで反復学習を得意とする猫ちゃんの動画を見ることもありますが、それはほんの一部の例ではないでしょうか。机の上に登ってほしくない、花瓶に触れないで欲しいといった場合は、飼い主さんが猫ちゃんをその部屋に入れないようにしたり、花瓶の場所を移すなどして気を付けるしかありません。

猫ちゃんの習性を理解して、飼い主さんがそれに合わせてコントロールすると考えた方がいいです。例えば猫ちゃんは砂を掘って排泄をし、そのあと自分の匂いをその場から消すために砂をかけますよね。トイレを失敗するというのであれば、トイレの砂の形状などがその猫ちゃんの習性に反している可能性があります。砂の粒が大きいがために猫ちゃんが自然なものではないと判断しているのかもしれません。そうした場合は、猫ちゃんが自然だと思ってくれるように、砂の粒を小さいものに変えるといった工夫が効果的です」

猫ちゃんを迎え入れるための心構え

 猫ちゃんを迎え入れためにはどのような心構えが必要なのでしょうか。猫ちゃんとの楽しい生活だけを想像するのではなく、その子の“最後”に関して責任をとれるかどうか想像してみることが重要だと多田さんは話されます。

「皆さん猫ちゃんとの幸せな20年の生活を想像してお迎えすると思うのですが、猫ちゃんは重病や治らない病気を発症してしまうこともあります。

病気の後遺症や事故などで一人で歩けなくなったり排泄ができなくなったとき、疾患の治療などで多額な医療費がかかるようになったとき、その子にどれだけの手間と時間とお金を使って不自由ない生活をサポートできるか。

そして、遺伝子病や骨がん、いくつかの治療不能で余命が宣告されるような病気などで、歩いているだけ、呼吸しているだけで苦痛を感じるようになったとき、その猫ちゃんの苦痛を早く終わらせてあげるため、穏やかで安らかな最後を迎えさせてあげるために、飼い主さんの判断で安楽死させる選択をとれるかどうか。
猫ちゃんが生涯を終えることにも責任を取れるか、その覚悟があるかということは迎え入れる前に考えた方がいいと思います」

 最後に、これから猫ちゃんを迎え入れ方にメッセージをいただきました。

「新しい命を迎えるにあたり色々な期待や不安があると思いますが、その子にとっての飼い主さんはあなたひとりです。それを心に強く持って猫ちゃんのために努力をしながら猫ちゃんからも幸せを沢山もらい、良好な関係を築いていってください。何か困ったことがあったらその子を引き取ったところなど色々な人に相談をして、猫ちゃんと生涯を共にしてください!」

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(文=いぬねこプラス編集部)

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(プロフィール) 多田 あさみ(ただ あさみ) 2008年よりタレントとして活動。2016年に「猫カフェmfmf」オープンし、猫の保護活動に従事。年間80頭等前後の猫の保護・譲渡。多頭崩壊レスキューや、離島の野良猫問題などにも取り組む。 趣味は食べ歩き、特技は釣り、魚を捌くこと。

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