獣医師長谷川先生に聞く、高齢猫のトイレ事情…飼い主さんができる工夫は?

2022/01/21 20:00

(画像はイメージ/GettyImagesより)

 ご存知の通り猫は綺麗好きで繊細な子が多く、特にトイレに関しては生まれて間もない子猫からあまり動けなくなってしまった高齢猫でもきちんとトイレで排泄しようとします。今回は猫の生活において重要な“トイレ”について高齢猫で気を付けることをお話しします。

本当はトイレでしたいのに

 高齢になってくると膀胱を支えている筋肉の衰えなどからトイレに間に合わずに失禁や尿漏れをしてしまうことが増えてきます。特に多いのがトイレまでは向かうのですが、トイレに入るまでに漏れてしまうというパターンです。そんな時は飼い主さんの方で工夫をしてあげましょう。

 例えばトイレの数が少なく、高齢猫にとってかなりの距離を移動しなければトイレにたどり着けないといった環境なのであれば、まずは各部屋にトイレを準備してあげてください。そうすればいつでも最寄りのトイレに行くことができるのでトイレに間に合わないことも減るでしょう。そのほかにもトイレシートをトイレの周りに敷き詰めておくと掃除も楽になりますし、猫にとっても匂いが残らないのでストレスを感じにくくなりますね。

 最近は猫用のおむつなども販売されていますが、これは見てあげることができない時間などの最終手段としてとっておきましょう。猫は何かを身に着けられることを嫌がりストレスを感じてしまう子が多く、おむつもその例外ではありません。いよいよ寝たきりになった場合でもトイレだけは起き上がって行こうとすることもあり、できればおむつに頼らずに手助けしてでもトイレに連れていってあげてください。

痛くてトイレに登れないのかも

 ペット用品を販売するショップなどでよく見かけるトイレは入り口の縁に高さがあるものが多いです。健康な成猫には苦にならない高さですが、筋力が弱まっている高齢猫ではその段差も一苦労です。また関節炎など整形疾患を患っていて関節が痛むような場合には、なおさらトイレに入れない原因となります。高齢猫にはできるだけ縁の低いトイレを用意してあげましょう。

最近急に粗相が増えた

 高齢猫では慢性腎臓病などいわゆる“多飲多尿”を示す病気を発症することが多く、そういった病気のために尿量が増え漏れてしまうといった可能性があります。一方で膀胱炎など膀胱の違和感から不適切な場所で排尿してしまうということもあります。

 つまり高齢で筋肉が衰えたからという理由以外にも病的原因が隠れているために尿が漏れてしまうということもあるので、トイレ以外の場所で漏らしてしまうといったことが増えてきているのであれば尿検査や血液検査などの健康診断を動物病院でお願いすることも検討してあげましょう。

 最後に綺麗好きな猫ちゃんはどんなに老いて弱ってもトイレで排尿したい子が多いです。粗相をしてしまっても決して叱ることなく、トイレをしたそうな素振りがあればトイレに行くまでの介助をしてあげるなど猫ちゃんのその意志を尊重してあげてください。

文=長谷川諒

 

(プロフィール)獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。

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