ローマ教皇「子どもを持たずにペットを飼うことは利己的」は本当か?

2022/02/03 10:00

 

 

GettyImagesより

 ペットを自分の子どものように大切な家族の一員として扱っている飼い主の方は多いことでしょう。しかし今月5日に、ローマ教皇フランシスコは「子どもを持たずにペットを飼うことは利己的である」という趣旨の発言をし、世界中のペットオーナーが衝撃を受けました。この発言に対する反論を英紙「The Independent」(1月6日付)が報じています。

教皇フランシスコの発言

 教皇フランシスコによると、人間の子どもを持たずにペットを飼うことは、「父性や母性を否定するものであり、私たちを損ない、私たちの人間性を奪うもの」であるそうです。『旧約聖書』には「産めよ、増えよ、地に満ちて地を従わせよ」という神から人への命令があったことが書かれていることがその背景にありそうですが、宗教的な理由がどうであれ、教皇フランシスコの発言に反発を覚える飼い主は多くいます。

ローマ教皇への反論

 獣医のショーン・マコーマック医師は、ローマ教皇の発言が「的外れ」であると痛烈に批判しています。「ペットから交友関係や精神的なサポートを得ることは、これまで以上に重要であり、ペットを飼うことで得られる人生を肯定するような絆は称賛されるべき」だというのがマコーマック医師の反論です。また健康上の理由から子どもを持てない、育てられない人にとって、ペットの存在は“命綱”であるとも指摘しています。

 30歳のシシ・リーガン・ツウィリングさんは、健康上の問題から慢性的な痛みに悩まされており、育児をすることはほぼ不可能であるため、3歳になる愛犬ハーレーに母性的な愛情のすべてを注ぐことに決めたと言います。

「私は自分より彼女に必要なものを優先します。彼女はたくさんのおもちゃやベッドを持ち、最高のドッグフードを食べ、私も加入していない健康保険に入っています。私のベッドで一緒に寝て、夜中に一緒におやつを食べて、公園に連れて行って友達と一緒に遊んでいます。これが母性でなければ、何が母性なのかわかりません」(ツウィリングさん)

 慢性疲労症候群を患う42歳のジョー・ナツキンスさんは、自分の子どもに同じ病が遺伝するのではないかと恐れ、子どもを持ち完璧な家庭を持つことを諦めたそうです。しかし、ノーリッチテリアやニワトリ、保護したアヒルやインコらとの生活を通して、ペットたちと完璧な家庭を築くことができたと今では感じていると言います。

 これまでの研究で、オキシトシンなどの特定のホルモンが、ペットと飼い主の間に特別な絆を生み出すことが示唆されており、また、2014年に行われた小規模な研究では、母親が自分の子供と愛犬の画像を見たときに、同じような脳の神経反応を示したことがわかっているそうです。

 さらに、マコーマック博士が、「困っている動物に責任を持つことは、利己的な行為ではなく、無私であり、愛情があり、思いやりがあり、称賛に値する」と話しているように、困っている動物をペットとして飼うことは決して利己的な行為とは言えないでしょう。英マンチェスター大学の研究員であるケリー・ラシュトン博士はこう述べています。

「成功した社会に必要なのは親だけではありません。自らの選択に関係なく自分が愛されている、必要とされていると感じられる機会を必要とする人々が必要なのです。ペットはそうしたことに加えて、さらに多くのものを提供してくれる上、その提供に終わりはありません」(ラシュトン博士)

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文=いぬねこプラス編集部

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