ペットの安楽死は延命治療より人道的、獣医が指摘

2022/02/15 18:00

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 安楽死の方がより人道的であるにもかかわらず、ペットを生かし続けている人が多すぎると獣医師が指摘しています。

Too many pets kept alive when it’s not the kindest option, say vets(The Guardian)

 近年、獣医学は目覚ましい進歩を遂げ、多くのペットがより長く健康でいられるようになりましたが、英ハンプシャー州のダニー・チェンバーズ医師は、何が何でも動物の寿命を延ばすことが、必ずしも動物にとって最良の選択にはならないと言います。

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「動物の幸福のためには、苦しみを終わらせるために安楽死が適切な場合もあります。もし、複雑な手術を受けさせて、その回復に何カ月もかかるような場合には、倫理的な議論が必要になります」(チェンバーズ医師)

 たとえば、長く苦しい化学療法は、人間であれば病気を治し、より長い時間を家族と過ごすため、また、健康になって夢を叶えるための手段としてその苦しみを合理化できますが、「動物には長生きしたいという願望はなく、クリスマスや誰かの誕生日まで生きたいとか、10歳年をとりたいとかはありません。ただ、一日一日を幸せに過ごしたいと思っている」とチェンバーズ医師は言います。

 治療であっても当事者であるペットたちにとって長く辛い苦しみは耐え難い純粋な苦しみとなるのです。英国獣医師会の会長であるジャスティン・ショートン氏は、「場合によっては、動物のQOL(生活の質)が低い場合や、治療法によっては痛みや苦しみが大きく、成功の可能性が低い場合には、安楽死を推奨することもある」と話します。

 英スウォンジーに住むリサ・クサイクさんは、自宅で仕事をしながら、下半身が麻痺した愛犬ナンボの世話をしています。ナンボは、十字靭帯、膝蓋骨、軟骨の損傷など、脚の問題で4回の手術を受けた後、変性性脊髄症と診断されました。現在は、週1回の理学療法、鍼灸治療、レーザー治療を受けており、治療費は2万ポンド(約312万円)と見積もられています。「私はほとんどの人よりも犬の方が好きです。彼は私のすべてなのです」と話すクサイクさんですが、何が何でも愛犬を生かしておこうとは考えていないそうです。安楽死が必要なほどQOLが低下したときには、理学療法士がそう教えてくれることになっていると言います。

 人間の安楽死がタブー視されている日本では、ペットの安楽死を選択する飼い主も少ないと言われています。しかし、ペットたちのために、彼らの立場から時には苦渋の決断をしなくてはならない時もあるでしょう。命の期限を決めることよりも、生き続けるに値しない苦しみに満ちた生を強いることの方が残酷かもしれません。

 筆者の個人的な経験からも苦しむペットを安楽死させたことに後悔はありません。してよかったと心の底から思います。むしろ、あのまま苦しませていた方が自責の念に苛まれていたことでしょう。

 ペットの安楽死は動物病院で行うことができます。手術と同じように麻酔をし、意識と感覚を失ってから、薬物を投与し心停止を招きます。獣医によっては絶対に安楽死を認めない人もいますが、その場合はより親身になって話を聞いてくれる獣医に相談することをおすすめします。費用は1万円前後です。

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文=いぬねこプラス編集部

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