警察が遺棄した迷い猫を遺体で発見… 八王子署の不可解な行動

2022/02/21 18:00

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GettyImages

 警視庁八王子署が拾得物として預かった迷い猫を、保健所などの関係機関に連絡しないまま1日に 河川敷に放した事件が悲しい結末を迎えました。16日に「ノイちゃん」らしき遺体が河原で発見されたというのです。河川敷にはノイちゃんの死を悼み、献花が添えられています。

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 編集部が八王子署に問い合わせたところ、遺体で発見された猫は飼い主も「ノイちゃんに似ている」と確認しているそうですが、警察としてはDNA鑑定の結果が出るまではノイちゃんだと断定できないと言います。そのため、現在も捜索活動は続いているとのことでした。

 ところで、ノイちゃんらしき猫は警察官により八王子市役所裏の河川敷で発見されましたが、八王子市役所は八王子署から徒歩5分の場所です。遺棄現場となった八王子署裏の河川敷は数百人のボランティアが連日懸命に捜索したものの、ノイちゃんの発見には至りませんでした。なぜ、警察官は遺棄現場のすぐ近くでノイちゃんらしき猫の遺体を発見できたのでしょうか?

 さらに、SNS上ではノイちゃんらしき猫の遺体が発見された日の夜に、警察官らによる河川敷の一斉捜索が行われいていた様子が投稿されており、これについて八王子署の担当者に聞いたところ、詳しくは分からないと断りながら「(ノイちゃんと)同じように亡くなっている猫がいるのではないか」、「この機会に一斉に捕獲、発見しようとしたのでは」との回答がありましたが、要領を得ませんでした。

 そもそも八王子署はなぜノイちゃんを河原に遺棄したのか、通常の手続きを怠り保健所に連絡しなかったのか、まだまだ疑問は山のようにありますが、八王子署は捜査中ということで具体的な回答は避けています。

 18日付で都議会の須山たかし議員ら4名による要望書が八王子警察署長宛で提出され、情報の公開と事件の原因究明、飼い主への謝罪などを求めました。一刻も早く八王子署には真相を明らかにしてもらいたいものです。

 一方、SNSでは一部ノイちゃんが完全室内飼いではなく、外に出られる状況だったことを指摘する声もあります。飼い猫であっても外に出られる猫には、交通事故に遭う危険性や、感染症にかかるリスク、ご近所トラブルを引き起こす可能性、虐待に遭う恐れがあり、環境省も完全室内飼いを推奨しています。これを機に完全室内飼いの必要性が特に高齢者を中心に認知されることが望まれますが、まずは猫を遺棄した八王子署が追求されるべきであることに変わりはありません。

 八王子署がノイちゃんを遺棄していなければ、今頃ノイちゃんは飼い主さんの下にいたはずですし、このようなトラブルを避けるために完全室内飼いに切り替えていたことでしょう。また脱走防止に努めていたとしても、ふとした間隙を縫って猫が脱走してしまうことはあります。八王子署の行為が是正されなければ、そうした迷い猫も河原に遺棄されることになります。

 また、SNSでは「保健所で殺処分されてしまうから逃した」、「飼い主が現れるかわからないから放した」という八王子署担当者の回答を掲載している方がいます。編集部が八王子署に確認したところ、猫を河川敷に放した理由はどこにも回答していないとのことですが、もし「殺処分がかわいそうだから逃してあげた」という憐憫の情から警察署員が猫を河原に放したのだとすれば、さらに別の問題を提起することになるでしょう。

 東京都は2018年に犬猫の殺処分数ゼロを達成したと公言しているわけですから、保健所に引き渡された猫が殺処分されてしまうというのは率直に考えればおかしな話です。しかし実際のところ、殺処分がゼロになったのは譲渡可能な犬猫に限った話であり、病気や怪我、攻撃性などで譲渡不適切な犬猫は2018年に146頭も殺処分されています。しかも譲渡不適切とする判断の根拠となる基準やガイドラインは設けられていません。ノイちゃんは20歳と高齢であり、脚も悪かったそうですから、譲渡不適切と判断されてしまっていた可能性もあるでしょう。

 ノイちゃんを遺棄した職員が特別な理由もなくただ猫を遺棄したのか、憐憫の情から逃してあげたのか……いずれにしろ、今後ノイちゃんのような不遇の猫が現れないためにも事実の公表が望まれます。

文=いぬねこプラス編集部

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