犬にバイアグラが投与される日が近い? 巨大食道症に有効か

2022/02/24 18:00

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 男性が勃起不全の治療に使用している「バイアグラ」のジェネリック版が、食道疾患の犬を助ける可能性があることが、学術誌「American Journal of Veterinary Research」で公表された米ワシントン州立大学の研究により明らかになりました。

A randomized crossover study of compounded liquid sildenafil for treatment of generalized megaesophagus in dogs (American Journal of Veterinary Research)

巨大食道症とは?

 巨大食道症(食道拡張症)は、食道が拡張し、食物を胃に送る機能が低下してしまう病気です。食物が食道から胃へ送り込まれなくなるため、食べたものを吐き出してしまいます。人間の他に犬や猫などにも見られ、食物が誤って肺に入ってしまう誤嚥性肺炎になりやすく、突然死の原因にもなります。同大のジリアン・ヘインズ准教授によると、巨大食道症になった犬は診断後8カ月以内に誤嚥性肺炎か、生活の質の低下による安楽死により命を落とすと言います。巨大食道症の原因はまだ分かっておらず、特発性とされ、また、有効な治療法もありません。

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 巨大食道症の犬は、重力によって食物を胃に落とすため、体が直立するように抱きかかえた状態で給餌するか、「ベイリーチェア」と呼ばれる、犬が地面に対して45~90度の角度を保つ直立した座席に座らせて食事を摂ってもらう必要があります。食後20分以上は椅子に座っていなければならず、また、食物が胃にスムーズに入るように粥のようなものか「ミートボール」のような形に調理されます。巨大食道症は、ペットにとっても飼い主にとっても非常に辛い難病です。

シルデナフィルの効果

 今回の研究では、巨大食道症を患う10頭の犬をプラセボ(偽薬)投与群とバイアグラのジェネリック薬品である「シルデナフィル」の投与群に分けて効果が測定されました。結果、10人の飼い主のうち9人が、シルデナフィルの液剤を投与した2週間の間に、逆流が減少したと報告したそうです。

 シルデナフィルは食道下部の括約筋を開き、食道にある食物が胃に入るように促す効果があると言います。その持続時間は20~60分であるため、犬の食事時間を考えると最適とのことです。

 ヘインズ准教授は、「シルデナフィルは、多くの犬の人生を変え、命を救う薬になると思います。今回の研究は、この薬の使用を支持するものであり、より多くの人に使用してもらえることを願っています」と話しました。バイアグラが巨大食道症に苦しむペットの救世主になる日も近いかもしれません。今後の研究に期待しましょう。

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文=いぬねこプラス編集部

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