AIM30の高額転売に注意 飼い主が冷静になるべき理由を獣医師に聞いた

2022/03/05 10:00

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GettyImagesより

 猫の腎臓病の予防食である「AIM30」が、フリマアプリで転売され問題となっています。

 AIM30とは、今年の3月1日よりマルカンから発売された猫の腎臓の健康維持フード。猫にとって腎臓病はとても身近な病気であり、老齢になるとほとんどの猫が腎臓病にかかると言われています。

 そのため、AIM30の発売を待ち望んでいた人は多く、SNS上では「近所のお店では売り切れで買えなかった」という声も聞こえます。それと同時に、フリマアプリ「メルカリ」では高額転売者が出現。通常1080円~1300円程度(600g)のAIM30が、高いものだと5000円以上で取引されています。

 こうした状態に異議を唱え、メルカリの運営にAIM30の転売を禁止する策を取るように訴える署名活動も始まりました。

 署名活動の発信者である、まるペットクリニック(広島県広島市)の院長・菖蒲谷 友彬(しょうぶだに ともあき)獣医師(Twitterへのリンク)は、AIM30を通常よりも高い値段で購入すべきでない、する必要はないと言います。

<高額転売品を購入することで「需要」が生まれ、結果として多数の「転売ヤー」を参入させることに繋がり、品薄状態が持続し、適正価格での流通が妨げられます。

また、昨年の療法食の高額転売でも問題となったのが、高額転売品を購入したために、通院費がなくなり、適切な治療を受けられず体調を崩したり、亡くなってしまった子もいました。

お金は有限です。不当に高い転売品を購入することにより、本当に必要なことにお金を使えなくなってしまう場合もあります>

 また、AIM30は「療法食」ではなく、あくまでも「総合栄養食」です。

<AIM30の対象となるのは「現在、療法食を食べていない猫」に限定されると思います。AIM30は「総合栄養食」であり、病気を治療するための「療法食」ではありません。つまり、現在「療法食」を食べて治療をしている子には適していません。

「尿路ケア」といっても尿路結石の“治療”はできません(実際市販の尿路ケアのフードに変えて再発する子もたくさん診ています)。食事アレルギーがある子であれば痒みが出たり、お腹をこわす可能性もあります。

また、全体的にカロリーが低くダイエットフード並のカロリーのため、たくさん食べなければカロリーが摂取できず、肥満の子には良いかもしれませんが、高齢期で食の細い子が食べるには不向きです。

そして、すでに慢性腎臓病を患っている猫にAIM30を与えることはお勧めできません。なぜならば慢性腎臓病の“治療”に適した栄養バランスにはなっていないからです。具体的に言うと療法食よりもタンパク質含有量が多く、制限すべきリンも療法食の2倍、ナトリウムも1.5倍含まれています。

慢性腎臓病の子に対する療法食の給与には「エビデンス」があります(一般食の2.4倍長生き)。また、慢性腎臓病で痩せる症例は寿命が短くなるというエビデンスもあります。なお、慢性腎臓病でない子に腎臓病療法食を与えることはしないでください>

 AIM30は腎臓病の“治療”の目的ではなく、健康を維持するためのサポートとして取り入れるフードということなのでしょう。

<昨年の療法食の高額転売のときもそうでしたが、品薄になると人間は冷静さを失い、必要以上に買い占めたり、法外な値段の高額転売品を買ってしまったりします。そして、お金がなくなり冷静になった時、初めて後悔するものです。皆様にはもう同じ思いはして欲しくないのです。

また、療法食を自己判断で変えることは絶対にやめてください。腎臓病の予防にとらわれすぎて、現在の病気が悪化してしまっては本末転倒ですし、かかりつけ医との関係を悪くすることにも繋がります。

病気は腎臓病だけではありません。腎臓病は予防できたとしても、他の病気になってしまう可能性はあります。その際は必ず獣医師に食事指導を仰いで下さい。決してネットの情報やSNSの噂などに惑わされないようにして下さい。治療がうまくいかなかった時の1番の被害者は「猫」だということを忘れないで下さい>

文=いぬねこプラス編集部

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