GWに読みたい「猫」が登場する文芸3選 猫愛を深めたい人必見!

2022/05/03 12:00

GettyImagesより

 2022年4月7日に漫画家の藤子不二雄Ⓐこと安孫子素雄(あびこもとお)氏が亡くなった。安孫子氏は藤子F不二雄こと藤本弘氏とともに藤子不二雄として活動した漫画家で、『忍者ハットリくん』や『怪物くん』、そして『笑ゥせぇるすまん』など数々の名作を残している。男女問わず、30代以上の多くが彼の作品を見ながら育ったのではないだろうか。

 一方、藤本弘氏は1996年9月23日に亡くなっている。彼の代表作といえば『ドラえもん』だ。

『ドラえもん』は累計発行部数が全世界で3億部を超すとい言われるほどビッグコンテンツであり、TVアニメは当然のこと、1980年の『ドラえもん のび太の恐竜』を皮切りに、劇場版が毎年のように制作されている。劇場版は、2000年以降の作品の全てが20億円以上の興行収入を叩き出すという脅威的な人気を誇る。『ドラえもん』はまさに日本を代表するコンテンツであり、知らない人はいないと言っても過言ではない。

 『ドラえもん』が猫型ロボットなのは周知の事実だが、「猫」が主人公ないしそれに近しい形で登場する作品は、日本のみならず海外にも多い。同じくアニメや漫画で考えると『トムとジェリー』や『おしゃれキャット』などが思い浮かぶ。もちろん他にもたくさん魅力的な猫が登場する作品はあるのだが、そう考えると猫には人間を魅了する特別な何かが備わっていることは間違いないらしい。

 さて、GW中はどこかでゆっくり過ごしたいという方のために、アニメや漫画ではなく小説で猫が登場する作品を読んでみるのはいかがだろうか。興味はあっても、アニメや漫画と比べて小説は読むのに時間がかかるという人は多いだろう。そんな人のために大型連休はうってつけだ。3作品ほど紹介するので、物語の世界にどっぷりと浸かってもらいたい。

『避暑地の猫』宮本 輝 著

 今作は宮本輝氏が1985年に発表した作品だ。主人公の両親は、使用人としてとある別荘で雇われている。しかしその別荘にはある秘密が隠されていて、それに気づいた時17歳の主人公の人生が狂っていく……というサスペンス仕立ての物語である。

 主人公の若さゆえの攻撃性、短絡さ、嫉妬心、後悔が最初から最後まで物語を漂い、青春の闇を照らし続ける。ラストの悲劇へとジリジリと迫る様は圧巻であり、また胸を痛める。

 今作では猫が非常に象徴的に登場している。避暑地で飼われた優雅な猫は、ある種の成功のシンボルであり、夢の自己投影でもある。その猫が主人公にとって一体どんな存在だったのか。是非ともその目で確かめてもらいたい。

『柩の中の猫』小池 真理子 著

 小池真理子氏が1990年に発表した作品だ。短編の名手と言われていた彼女だけあってか、原稿枚数は比較的少なめで、そういった意味では読みやすい作品だ。

 小池真理子氏の代表作『恋』をはじめ、彼女の作品の多くに成功者がシンボルのように登場するが、今作もそうである。人気画家にアシスタントとしてやってきた主人公が初めて覚える人間の悲哀と嫉妬、憐憫が本作のテーマだ。幼い少女と猫のララの絆を理解できない大人。その歪んだ交差が取り返しのつかない悲劇を呼び起こす。

 今作もサスペンス仕立てとなっていて、読後は強烈な悲壮感に包まれるだろう。こんなにも悲しい猫の物語は見たことがない・・・そんな作品だ。

『黒猫』エドガー・アラン・ポー 著

 今作はエドガー・アラン・ポーが1843年に発表した怪奇小説だ。怪奇古典小説としてもかなり有名な作品なので、名前だけは知っているという方も多いかもしれない。

 自身の酒癖により愛猫の黒猫を殺めてしまった男が、そのそっくりな黒猫に徐々に追い詰められていく様は、100年以上経った現代でも通用する恐怖と緊張感を読者に与えてくる。様々な出版社から発売もされているので手にも入れやすいだろう。短編なのでエドガー・アラン・ポーを読んでみたいという方にとっても、入門的な作品だ。
 
 上記2作品と比べて今作は猫のオカルティックさというか、ミステリアスさが前面に出ていて、その当時の猫と人間の関係性を窺い知れる作品にもなっている。

 もちろん猫が登場する文芸作品はこれらだけじゃない。夏目漱石の『吾輩は猫である』も作品名は有名でも読破したことがない人も多いのではないだろうか。愛猫を膝に抱えながらこれらの作品を読むことで、より猫愛が深まるはずだ。

文=Leoneko

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