ウクライナからの避難犬を含め、狂犬病ワクチンはなぜ必要?

2022/05/31 21:00

ウクライナ避難民のペットの特例処置は適切なのか

――冒頭で述べたように、ウクライナ避難民のペットが入国する際は特例措置が適応されることとなりましたが、多田さんの周囲からは反対の声も大きいようです。

「私の場合は仕事上、Twitterでフォローしているアカウントは獣医さんや動物関係者の方が多いのですが、そうした方々は特例に反対している印象が強いです。

狂犬病にかかっていない証明ができていないワンちゃんの具合が悪くなり、それが狂犬病に似た症状だった場合、どこの獣医がその子を診察するのか? できるのか? と獣医師さんたちは発信しています。

自宅隔離といっても、もし脱走してしまった場合や、庭に出して他の哺乳類と接触した場合はどうするのでしょうか。狂犬病はネズミやコウモリなどすべての哺乳類が感染するので。今回の特例処置の発表は、そうした面が考慮されていないように感じます。

また、繰り返しになりますが、日本国内で狂犬病ワクチンの接種率が100%に近い数字であれば、今回の子が狂犬病だった場合でも、感染拡大は防げると思います。

しかし、現状の接種率は7割以下です。集団免疫といって、何か感染病が発生したときに7割が免疫を持っていれば爆発的な感染は起こりづらいというボーダーラインがあるのですが、それを下回っているため、国内で狂犬病が発生した場合、一気に広がる可能性があります。それも、反対している動物関係者が多い理由のひとつです」

多くの犠牲あってこその狂犬病清浄国

「日本で狂犬病が65年間発生していないのは、検疫でウイルスを水際で止めてくれている方々と、戦後多くの野犬を処分してきた職員さんたちと、啓蒙してきた動物病院の先生たちと、そして、処分されてきた野犬たちの多くの犠牲があってのものです。

“長年発生していないからワクチンは不要”と言っている方は、その犠牲にタダ乗りしている状態です。

しかし一方で、病気で打てなかったり、打つと激しいショック症状が起きたりで体質的に打てないワンちゃんもいます。その子たちに無理に打てとは言いません。そうした子の飼い主さんは、打った際のリスクと打たなかった際のリスクを考慮し、獣医師さんと相談して決めてください。

ただ心配なのが、そうした選択をした飼い主さんが、「狂犬病ワクチンは危険だから打つのを止めよう」と発信してしまうことです。打てない子を守るためにも、打てる子は打つ必要があるのです。打てない我が子を守るためにも、周りのワンちゃんたちには接種をお願いしたいですね。

ただただ、根拠もなく怖いからやめようと発信することや、怪しい情報を鵜呑みにするのは止めてください。まだ世界中で、多くの犠牲者が出ている感染症です。感染症において、自分だけは大丈夫というのは通用しないということを、我々はこの数年で実感したと思います。

できる限りの対策をして、我が子とその清浄国であるこの国を守っていきましょう」

猫カフェmfmf(モフモフ)

常駐スタッフ猫ちゃんと里親募集中の保護猫ちゃんが走り回る猫カフェ。
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【プロフィール】

多田 あさみ(ただ あさみ)
2008年よりタレントとして活動。2016年に「猫カフェmfmf」オープンし、猫の保護活動に従事。年間80頭等前後の猫の保護・譲渡。多頭崩壊レスキューや、離島の野良猫問題などにも取り組む。 趣味は食べ歩き、特技は釣り、魚を捌くこと。

文=いぬねこプラス編集部

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