殺すではなく生かす施設へと変化する動物愛護センター5選

2022/06/21 11:00

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 いぬねこプラスでは、東京都で保護から譲渡まで行う「新しい動物愛護センター」の新設を公約に掲げる都議会議員のインタビューを以前お伝えしたが、従来の動物愛護センターを見直す動きが全国的に広がっている。殺処分を念頭に置いた施設ではなく、犬猫を生かす施設として考える、そんな地方自治体の事例を紹介する。

保護重視の「新しい動物愛護センター」とは?

譲渡会や子どもの動物教室も開催「いしかわ動物愛護センター」

 石川県津幡町の県森林公園内で2024年の開所が予定されている「いしかわ動物愛護センター」は、猫が過ごしやすい空間にデザインされた猫用のマッチング室、犬用のトリミング室、北陸最大規模のドッグランを備える計画だ。譲渡会や、子ども用の動物教室も開催される予定で、殺処分ゼロを目指している。

 石川県薬事衛生課の担当者によると、「石川県動物の愛護及び管理に関する条例」が2021年10月4日に公布されたことをきっかけに、その理念を実現するための場所として設立される運びになったという。今後、石川県はペットの飼い主に適正飼養を啓発し、殺処分がなくなることを目指すとのことだ。

札幌市の新施設では犬猫の収容数を2.5倍に

 全国47都道府県のうち唯一動物愛護センターが設置されていない北海道。札幌市では西区八軒の動物管理センターの後継施設として「動物愛護センター(仮)」の建設が進められている。犬猫の収容数を現在の2.5倍に増やし、動物愛護教育の啓発にも力を入れる予定だ。来年秋の開設を目指している。

 札幌市動物管理センターの担当者によると、現施設の老朽化と動物愛護センターの建設を望む市民の陳情書が議会で採択されたことを受け、新たな施設の設置が決まったという。

 「札幌市動物愛護管理推進計画」には、「札幌市における動物愛護管理行政の課題」として、「飼い主の終生飼養に対する意識向上」、「犬の飼い主の散歩マナー向上を図る啓発指導」などが挙げられている。

地震が契機、熊本県には適正飼養等も学べる新施設

 熊本県は新たな動物愛護の拠点となる「新熊本県動物愛護センター(仮称)」を2023年3月末に開所する予定だ。「新センターには、子どもから大人まで幅広い年代の方々に、犬や猫の適正飼養等について学んでもらえる多目的スペースや、譲渡を希望する犬や猫と実際に触れ合えるドッグラン、猫の展示ブースなどを設置する予定」とのこと。

 熊本県健康危機管理課の担当者によると、熊本地震をきっかけに動物の殺処分が一時的にストップ、それにより収容数がキャパシティを超えてしまったため、現状の動物愛護センターのあり方を検討、その結果、現状のセンターとは別に新たな愛護の拠点を整備することが決定したという。

 また、今も保健所に収容される犬猫は一定数いるため、動物愛護に関する啓発が重要だと認識しているとのことだ。

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犬に続き猫の殺処分ゼロを目指す名古屋市

 名古屋市千種区にある動物愛護センターでは、最大で160匹の猫を収容することができる新しい猫の飼育施設が完成した。譲渡数増加のため人慣れをさせるのための部屋も新設。また、多頭飼育崩壊から救出した複数の猫を収容できるゲージも増やした。旧施設と含め200匹の猫を収容することが可能になり、猫の殺処分ゼロに向けて大きな役割を果たすと見られている。なお、2016年度に犬の殺処分ゼロは達成している。

動物にとってストレスフリーな愛護センターを目指す広島県

 広島県は2023年4月に新たな動物愛護センターを開所する予定。「動物と人と緑が共生する森の舎(イエ)」をコンセプトに、動物がストレスを感じず過ごせ、来場者と触れ合えるにぎわいの場を目指すという。約1800㎡の広大な敷地で犬猫の収容・展示だけでなく、グルーミング室や動物のための運動場も整備し、また近隣の施設と連携したイベントも計画されている。

 本来、飼い主のいない犬猫の問題は地域の問題として行政主導で対処されるべきだ。しかし、現状では民間団体やボランティアに頼る自治体が多い。保護から譲渡まで一貫して行う大規模な動物愛護センターが各県で新設されることは喜ばしいことだが、遅すぎるという印象は拭いがたい。

 東京都は動物愛護の意識が高い民間団体が多くあることから、むしろ行政が後手に回っているようなところがある。東京都動物愛護相談センターも民間団体やボランティアの協力なしには十分に機能できないのが現状だ。

 とはいえ各都道府県に全ての責任を押し付けることもできない。日本はかねてより、動物愛護後進国と見なされてきた。汚名返上のためには国家単位での動物愛護への取り組みが必須だろう。

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文=いぬねこプラス編集部

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