犬のマイクロチップ装着義務化、費用はいくら?どこでできる?【獣医師監修】

2022/07/05 20:00

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GettyImagesより

犬へのマイクロチップ装着が義務化

 2019年の動物愛護管理法の改正に基づき、2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップで販売する犬や猫に、マイクロチップを装着させることが義務付けられました。そのため、6月1日以降に犬や猫を購入した飼い主さんは所有者情報の変更義務が生じ、飼い主情報の登録が求められます。

犬のマイクロチップ装着の費用は?

 マイクロチップを装着する費用としては一般的に3,000~10,000円程度です。なお、所有者情報の登録や、情報の変更には別途手数料が発生し、オンライン申請の場合は300円、紙申請の場合は1,000円が必要です。登録証明書の再交付の手数料は、オンライン申請は200円、紙申請は700円かかります。

 各動物病院によりマイクロチップ装着の料金は異なります。たとえば、東京都東久留米市のある動物病院の場合、一律5500円。京都府京都市のある動物病院の場合は、6248円(税込)。東京都台東区のある動物病院の場合は、4500円となっています。

 マイクロチップの挿入自体は普段の皮下注射と同様ですが、敏感な子の痛みの回避の為に局所麻酔をしてから挿入することもありますので、その場合は別途費用がかかります。それぞれ動物病院にお問い合わせください。

犬のマイクロチップ装着は無料でできる?

 市町村によってはマイクロチップ装着費用の一部を補助してくれる地域もあります。たとえば神奈川県横浜市の場合、申請をすれば1件のマイクロチップ装着につき上限1500円の補助が出ます(2022年6月28日付)。また愛知県名古屋市でも、申請をすることで1000円の補助があります(2022年6月28日付)。

 そのほかの市町村でも補助が出る地域はあるので、調べてから装着することをおすすめします。

犬のマイクロチップ装着はどこでどのようにできる?

 マイクロチップの装着は医療行為にあたるため、動物病院で獣医師が行います。まず、事前にマイクロチップに不備がないかを確認してから、専用のインジェクター(チップ注入器)によって、直径1~2㎜、長さ8~12㎜のマイクロチップを皮下に埋め込みます。ワンちゃんの場合は首の後ろに装着するのが一般的です。

 装着はすぐに終わるため、通常の注射と同じ程度の痛みしかなく、動物に大きな苦痛を与えるものではないと言われています。普段の皮下注射針より太めですので装着後は注射部位が安定するまで安静にし、5日程度はシャンプーを控えた方が良いでしょう。

マイクロチップ装着のメリットとは

 マイクロチップは15桁の番号が割り当てられており、この番号を専用リーダーで読み込むことで、登録されている飼い主さんの名前や住所、連絡先などを確認する仕組みになっています。

 そのため、万が一ワンちゃんが脱走して迷子になってしまったり、地震や豪雨といった災害、盗難などで離ればなれになってしまった際に、ワンちゃんと飼い主さんを結びつけることが可能になります。

 また、飼い主さんの情報が分かることで飼育放棄や遺棄を防ぎ、保護犬の増加や殺処分を減らすことが期待できるというメリットもあります。マイクロチップの読み取り機は、自治体の保健所や動物愛護センター、動物病院などに置いてあります。

マイクロチップ装着のデメリットとは

 マイクロチップ装着のデメリットとしては、マイクロチップを挿入する際の注射の痛みがあげられます。なお、マイクロチップを挿入することで、動物の身体に障害が出ることを恐れる飼い主さんもいますが、臨床試験の結果、安全性が確認されているので心配することはないでしょう。

 また、保健所や動物愛護センター、動物病院でしかマイクロチップを読み取ることができないのもデメリットのひとつ。マイクロチップ装着だけでなく、首輪に迷子札などを付けておくと安心です。

マイクロチップ装着しないとどうなる? 罰則はある?

 動物愛護管理法が改正されたといっても、飼い主さんに対してマイクロチップの挿入は「努力義務」、つまり「なるべく装着してください」というものです。そのため、すでにワンちゃんを飼っている方がマイクロチップの装着を行わなかったとしても、罰則はありません。ペットショップやブリーダーからマイクロチップが装着されたワンちゃんを購入した飼い主さんが、所有者情報を変更しなかった場合も同様です。

 努力義務ですが、登録・変更をしていなければ災害、盗難などに巻き込まれた場合、飼い主さんの元へ戻って来られる可能性は極めて低いでしょう。

●この記事の監修

西井丈博(にしい たけひろ)氏西井丈博(にしい たけひろ)
阿佐ヶ谷動物病院院長。麻布大学獣医学科を卒業後、複数の動物病院で経験を積み、2002年、東京都・杉並区に「阿佐ヶ谷動物病院」を開業。NPO法人ワンコレクションの活動に賛同し、子どもたちに対して「動物の授業」を行っている。
阿佐ヶ谷動物病院HP:https://www.asagaya-ah.com/index.php

 

NPO法人ワンコレクションNPO法人ワンコレクション
課外活動・学童保育の一環として、子どもたちに色々な体験をしてもらう、「動物の授業」「俳句の授業」「サッカーの授業」といった特別授業を企画運営。
HP:http://www.onecollection.org/

文=いぬねこプラス編集部

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