保護猫施設の往診獣医師が解説、シェルターメディスンとは?

2022/08/06 17:00

GettyImagesより

 近年、日本でも動物愛護活動の広まりとともに、全国各地で“動物保護施設”や“動物愛護センター”などのアニマルシェルターと呼ばれる施設が見られるようになりました。こういったシェルターには行政が設置したものや、NPO法人、個人ボランティアによる民間のものまで様々あり、その目的は一貫して殺処分ゼロを目指し、保護した動物を幸せにすることに尽きます。

多頭飼育の一軒家を保護猫シェルターに

アニマルシェルターの役割

 シェルターで保護されている動物は、飼育放棄や多頭飼育崩壊、繁殖業者(ブリーダー)上がりなどその理由もいろいろですが、いずれも人間の勝手な都合により行き場を無くした子たちばかりです。そういった子たちを多く収容するシェルター、しかしここはあくまで“一時的”な避難所です。行き場のない動物を保護し、人と生活することに慣れさせる心のケア。怪我や病気の治療、避妊・去勢手術、ワクチン接種などの身体のケア。この両方を行いながら新たな飼い主(里親)を探す手助けをする、これがアニマルシェルターの大きな役割となっています。

シェルターメディスンとは?

 おそらく多くの方が聞き馴染みのない“シェルターメディスン”という言葉、その意味をご存知でしょうか。シェルターメディスンとはアメリカで動物保護活動が活発化した2000年頃に生まれ、日本語では「動物収容施設に関わる伴侶動物の群管理に関わる獣医療」と訳されます。と言われても言葉が固すぎてなんだか難しく感じてしまいますよね。

 同じ獣医療でもおうちで飼われているワンちゃん猫ちゃんを診る、いわゆる町の動物病院で“個”の管理をする獣医療とは大きく違い、シェルターメディスンでは“群”の管理に重きを置いています。もう少し噛み砕いて表現すると、動物が“群”として収容されているシェルターのような環境で動物を管理するための考え方や手法がシェルターメディスンというわけです。

 また、地震など大きな災害が起きると、人間だけでなく動物も被災します。こういった被災動物の管理にもシェルターメディスンは活用され、今までの“個”を見る獣医療では対応が難しかった様々な動物の問題に対応する獣医療の新しい考え方です。

科学的根拠に基づいて動物を適正に管理

 例えばシェルターで問題になることのひとつに感染症があります。一カ所に多数の動物が収容されているので予防をしていても、シェルター内に感染症が蔓延してしまうことがあります。このひとつの問題がきっかけとなり、譲渡数が増えない→保護動物を新たに受け入れきれない→資金や物資の枯渇→運営困難というように次々と新たな問題につながり、どんどんと活動を悪循環させていきます。

 そうならないためにも、様々なシェルターから集めたデータを分析し、科学的根拠に基づいて動物を適正に管理する方法を示すことによって、どうすればより良い保護活動を運営していけるのか知るための手段ともいえます。

 保護された子たちを見ていると主観や感情が入り、判断を迷うこともしばしばありますが、科学的な根拠があればその判断の助けになるでしょう。ひいてはその判断がより良い保護活動、施設運営につながり一頭でも多くの保護動物が幸せになることを願っています。

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文=長谷川諒

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