猫のマイクロチップ、費用や装着場所は? 保護猫は? 【獣医師監修】

2022/08/01 17:08

GettyImagesより

 2019年の動物愛護管理法の改正に基づき、2022年6月1日から、ブリーダーやペットショップで販売する犬や猫に、マイクロチップを装着させることが義務付けられました。そのため、6月1日以降に犬や猫を購入した飼い主さんは所有者情報の変更義務が生じ、飼い主情報の登録が求められます。

猫のマイクロチップ装着の費用は?

 マイクロチップを装着する費用は一般的に3,000~10,000円程度です。なお、所有者情報の登録や、情報の変更には別途手数料が発生し、オンライン申請の場合は300円で、紙申請の場合は1,000円が必要です。登録証明書の再交付の手数料は、オンライン申請は200円で、紙申請の場合は700円かかります。

 動物病院によって、マイクロチップ装着の料金は異なります。たとえば、東京都東久留米市のある動物病院の場合、一律5500円です。京都府京都市のある動物病院の場合は、6248円(税込)。東京都台東区のある動物病院の場合は、4500円となっています。

 マイクロチップの挿入自体は普段の皮下注射と同様ですが、痛みに敏感な子は局所麻酔をしてから挿入することもあるので、その場合は別途費用がかかります。それぞれの動物病院にお問い合わせください。

猫のマイクロチップ装着は無料でできる?

 市町村によってはマイクロチップ装着費用の一部を補助してくれる地域もあります。たとえば横浜市では、申請をすれば1件のマイクロチップ装着につき上限1500円の補助が出ます(2022年7月25日付)。また、名古屋市でも、申請をすることで1000円の補助があります(2022年7月25日付)。

 そのほかの市町村でも補助が出る地域はあるので、調べてから装着することをおすすめします。

猫のマイクロチップ装着はどこでどのようにできる?

 マイクロチップの装着は医療行為にあたるため、動物病院で獣医師が行います。最初に、事前にマイクロチップに不備がないかを確認してから、専用のインジェクター(チップ注入器)によって、直径1~2㎜、長さ8~12㎜のマイクロチップを皮下に埋め込みます。猫ちゃんの場合は首の後ろに装着するのが一般的です。

 装着はすぐに終わるため、通常の注射と同じ程度の痛みしかなく、動物に大きな苦痛を与えるものではありません。普段の皮下注射針より太めなので、装着後は注射部位が安定するまで安静にし、5日程度はシャンプーを控えた方が良いでしょう。

マイクロチップ装着のメリットとは

 マイクロチップは15桁の番号が割り当てられており、この番号を専用リーダーで読み込むことで、登録されている飼い主さんの名前や住所、連絡先などを確認する仕組みになっています。

 そのため、万が一猫ちゃんが脱走して迷子になってしまったり、地震や豪雨といった災害、盗難などで離ればなれになってしまった際に、猫ちゃんと飼い主さんを結びつけることが可能です。

 また、飼い主さんの情報が分かることで飼育放棄や遺棄を防ぎ、保護猫の増加や殺処分を減らすことが期待できるというメリットもあります。マイクロチップの読み取り機は、自治体の保健所や動物愛護センター、動物病院などに置いてあります。

マイクロチップ装着のデメリットとは

 マイクロチップ装着のデメリットとしては、マイクロチップを挿入するときの注射の痛みがあげられます。なお、マイクロチップを挿入することで、動物の身体に障害が出ることを恐れる飼い主さんもいますが、臨床試験の結果、安全性が確認されているので心配することはないでしょう。

 また、保健所や動物愛護センター、動物病院でしかマイクロチップを読み取ることができないのもデメリットのひとつです。

マイクロチップ装着しないとどうなる? 罰則はある?

 動物愛護管理法は改正されましたが、飼い主さんに対してマイクロチップの挿入は「努力義務」、つまり「なるべく装着してください」というものです。そのため、すでに猫ちゃんを飼っている方がマイクロチップの装着を行わなかったとしても、罰則はありません。ペットショップやブリーダーからマイクロチップが装着された猫ちゃんを購入した飼い主さんが、所有者情報を変更しなかった場合も同様です。

 しかし、マイクロチップの登録・変更をしていなければ、災害や盗難などに巻き込まれた場合、猫ちゃんが飼い主さんの元へ戻って来られる可能性は低いと思われます。

保護猫のマイクロチップはどうする?

 すでにマイクロチップが装着されている保護猫ちゃんを引き取った場合は、所有者情報の変更を行ってください。なお、情報の変更には手数料がかかり、オンライン申請の場合は300円、紙申請の場合は1,000円です。

 マイクロチップが装着されていない保護猫ちゃんを引き取った場合は、ご自身で動物病院へ行き、マイクロチップを装着してもらってください。

●この記事の監修

長谷川諒(はせがわ りょう)

獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。

文=いぬねこプラス編集部

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