犬や猫の熱中症対策 もしものときの見分け方と対処法も【獣医師監修】
2022/08/16 19:00

GettyImagesより
犬や猫も私たち人間と同じように、夏場は特に熱中症になってしまうことがあります。動物病院での処置で助かる子もいますが、最悪の場合、命を落としてしまうことも。そこで、大切な愛犬、愛猫が熱中症にならないための対策や、熱中症になってしまった場合の対処法についてご紹介します。
・犬や猫の家の中での熱中症対策
・犬や猫の車内での熱中症対策
・犬ならではの熱中症対策
・猫ならではの熱中症対策
・犬や猫が熱中症かどうかを確認する方法
・犬や猫に熱中症が疑われる場合の対処法
犬や猫の家の中での熱中症対策
まずは、しっかりとエアコンの冷房で家の中の温度を下げることが基本です。特に猫ちゃんの場合はひとつの部屋に留まることが難しいので、家全体を冷やすようにしましょう。
エアコンの設定温度だけを見るのではなく、室温計で室内の温度が25~28度くらいになるように調節することをおススメします。その上で、大理石やアルミのプレートや鍋、クールマットといったグッズや、冷たい空気が循環するように扇風機を付けることも対策になります。
ただ、人間と違い犬や猫の体は扇風機では体温が下がらないので、エアコンを付けずに扇風機だけを回すことは危険です。必ず、エアコンは付けるようにしてください。
犬や猫の車内での熱中症対策
室内だけなく、移動中の車内でも熱中症対策が必要です。車内はしっかりと冷房をつけ、犬、猫を入れるキャリーケースの中は、温度が上がらないように凍らせたペットボトルや保冷剤を入れるのがよいでしょう。
また、車内はエンジンを切った直後から温度が上昇します。そのため、数分であっても犬、猫を車内に置いたまま、エンジンを切って外に出ることは止めてください。
犬ならではの熱中症対策
犬の場合、夏場でもお散歩に行きますよね。ただ、夏場はいつでもお散歩に行ってOKというわけにはいきません。強い日差しに照らされたアスファルトの上は非常に熱くなっており、60度以上になることも。その上を犬が歩くと肉球を火傷する危険性があります。
また、犬は人間よりも体が地面に近いため、アスファルトの熱気を感じやすく、熱中症になるリスクが高まります。夏場のお散歩は、気温が上がる前の早朝か、日没後に地面を触り、熱くないことを確認してから行くようにしましょう。
そして、脱水症状を防ぐために、お散歩時には飼い主さんの飲み水だけでなく、犬用の水も持ち歩いてください。
なお、犬の中には特に暑さに弱い犬種の子もいます。フレンチブルドッグやパグ、ボストンテリア、ペキニーズといった犬種は先天的な形態異常により呼吸がしづらく熱中症になりやすいため、注意が必要です。
猫ならではの熱中症対策
猫特有の注意点としては、窓際や出窓といった猫が居座りやすい「日当たりがよい場所」を作らないことです。猫は一度寝る場所を決めるとあまり動かないことが多く、いざ暑くて具合が悪くなってからでは動きたくてもすでに動けない状態になることもあります。
実際に、夏場に窓辺で日向ぼっこをしていた猫が熱中症になってしまったケースもあります。窓際や出窓は、物を置いたり段ボールを貼って日除けするといった対策が効果的です。
また、短毛よりも長毛の子の方が熱が篭りやすいため、トリミングでサマーカットにする場合もあります。
犬や猫が熱中症かどうかを確認する方法
犬、猫が熱中症かどうかを確認する方法はいくつかあります。ぐったりとして動かない、フラフラと落ち着きがない、口を開けて荒い呼吸をしている、ご飯やおやつを食べない、体温が高い、反応が鈍いといったことがある場合は、熱中症かもしれません。さらに重篤化すると、嘔吐やけいれん、吐しゃ物に血液が混じる、失神、昏睡といった症状があらわれます。
また、皮膚の弾力性を調べることで、脱水状態にあるかどうかを判断することもできます。肩甲骨のあたりの皮膚をつまんで持ち上げて離すことを繰り返し、その弾力性を見ます。水分補給が十分な犬であれば、皮膚が瞬時に元の位置に戻りますが、もし皮膚が戻るまで時間がかかるようなら、脱水症状になっている可能性が。脱水時の弾力性を比較するためにも、まずは正常な状態の時に同じテストをしてみるとよいでしょう。
犬や猫に熱中症が疑われる場合の対処法
熱中症は早く処置をすることが重要です。犬や猫に熱中症が疑われる場合は、まずは動物病院に電話をしましょう。あらかじめ電話をしておくことで、病院も受け入れ体制を整えることができます。
そのうえで、動物病院に向かうまでの間は、人間が体を冷やすのと同じように、ワンちゃん、猫ちゃんの首元やわきの下、脚の付け根といった太い血管のある部分を、アイスノンや氷などで冷やしてあげてください。
また、お散歩中など野外で熱中症になってした場合は、日陰や涼しい場所に移動し、近くのお店などで水を借りるなどして犬の体にかけてください。
なお、飼い主さんが自力で治そうとするのではなく、必ず動物病院に連れて行くことが大切です。
●この記事の監修
長谷川諒(はせがわ りょう)
獣医師・潜水士
Ani-vet代表・ヤマザキ動物専門学校講師・北里大学獣医学科生化学研究室研究生
保護施設専門往診病院「レイクタウンねこ診療所」院長。首都圏(東京都・埼玉県)を中心に動物病院での診察も行う。保護猫活動を支援する傍ら、現役獣医師によるメディアでの知識の啓蒙にも取り組んでいる。