クワガタ・カブトムシ200匹飼い!プロレスラーが本気でハマる昆虫ブリード

2022/08/18 15:00

 犬や猫だけがペットではない!熱帯魚や爬虫類など、ペットの種類も魅力も千差万別。今回は芸能人にも愛好家が多いという「クワガタ・カブトムシ」の魅力に魅せられて、本業のかたわら「昆虫ブリーダー」としても活動するプロレスラーにその偏愛っぷりを熱く語ってもらった。

遠藤哲哉(えんどう・てつや) 1991年8月11日生まれ、宮城県出身。2012年、後楽園ホールでプロレスラーデビュー。新体操仕込みの飛び技を得意とし、DDT最高峰のKO-D無差別級王座に3度輝く。現在は秋山準、岡田佑介、高鹿佑也と共に「BURNING」というユニットで活躍。

 

 個性豊かなレスラーたちによる、バラエティに富んだエンターテインメント性の高い試合が人気のDDTプロレスリング(以下、DDT)。強さと楽しさを兼ね備える団体の中において、常にチャンピオン戦線に立ち続け激闘を繰り広げているのが遠藤哲哉選手(31)だ。

 遠藤選手の魅力といえば、なんといっても華やかな飛び技。学生時代に新体操部所属だったというだけあり、コーナーポストから描く放物線は高く美しく見る者の心を一発でわしづかみにする。一方、ヒールユニットに所属していた時代もあり、そのキャラクターはクールな印象だが、愛するクワガタ・カブトムシの話になると表情は一転。腕の上で暴れるクワガタに破顔しながら、その偏愛を余すことなく語り尽くしてくれた。

ファンも遠藤選手のカブトムシ写真を購入して応援

──今日は遠藤選手が実際に飼育されている2匹のクワガタを連れて来ていただきました。

遠藤哲哉選手(以下、遠藤):「パラワンオオヒラタクワガタ」という種類と、「タランドゥスオオツヤクワガタ」という種類になります。今日は写真も撮影してもらえるということで、もっと映える「ニジイロクワガタ」とかを持ってきたかったんですけど、今の時期はみんな幼虫なんですよね……。

──いえいえ、十分に映えてます!特にパラワンオオヒラタクワガタはめちゃくちゃ大きいですよね。

遠藤:98mmくらいあります。とにかく気性が荒いので、アゴ(編註:ツノのように見える部分)で挟まれるとケガしますね。

──たまにバラエティ番組でクワガタに鼻を挟ませたりするシーンありますよね。

遠藤:こいつがあんなことしたら放送できなくなります(笑)。

遠藤選手が飼育しているパラワンオオヒラタクワガタ

──遠藤選手は昆虫が好きすぎて、カブトムシのポートレート写真をグッズとして販売したこともあったそうですね?

遠藤:そうなんです。通常はレスラーポートレートを販売するんですが、その撮影の時に「ヘラクレスオオカブト」を持って行ったら、カメラマンの方がすごいテンション上がっちゃって。僕抜きでカブトムシだけを撮影し始めたんですよ。その写真がまたすごく良くて、これはもう僕が写ってなくても絶対売れるから売ろうと思って。グッズを担当している副社長には反対されましたが(笑)。これが実際すごく売れました。即完です。

──遠藤選手のファンも相当仕上がってますね。

遠藤:いや〜ファンの方々もどういうつもりなんでしょうかね、僕写ってないのに(笑)。でも、海外からの注文も多かったみたいなんで、今後も出そうと思ってます。今ニジイロクワガタの幼虫をたくさん飼育しているので、それが羽化したらまた写真撮ってもらおうかな。

実際に販売されたカブトムシポートレート(写真提供:DDT)

──プロレスラーの方でクワガタ・カブトムシを趣味にされてる方って他にもいるんですか?

遠藤:それが、僕以外に聞いたことがないんですよね。

──芸能人の方だと結構いますよね。哀川翔さんは有名だし、ジャニーズの井ノ原快彦さんがカブトムシを150匹飼育しているというニュースを見たこともあります。

遠藤:あと、北川景子さんもニジイロクワガタを飼ってるんですよ!そのうち昆虫ショップとかでお知り合いになれるかも……(笑)。

──北川さんと繋がった際にはすぐ連絡ください(笑)。遠藤選手は実際どのくらいクワガタとカブトムシを飼育されているんですか?

遠藤:昔よりは少し減ったんですが、それでも200匹くらいはいますね。クワガタ8割、カブトムシ2割くらい。今の時期は8〜9割が幼虫の状態です。クワガタ・カブトムシは夏のイメージかもしれませんが、僕が飼ってるのは外国産が多いので日本の四季はあまり関係ないんです。

──幼虫の状態から飼育するんですね。

遠藤:昆虫を好きな人には3種類いて、採集が好きな人、ブリードをする人、標本作りが好きな人がいます。僕はブリード、つまり飼育が好きなんですね。生体(成虫)のオスとメスを購入して、交尾をへて卵を採集して、そこから幼虫を育てて羽化して成虫になるまでを見届けるんです。幼虫は1匹ずつプリンカップという小さいプラスチックの容器に入れて、冷温庫かワインセラーで保管します。

──ワインセラーにワインじゃなくて幼虫を入れていると……。

遠藤:我々にとってワインセラーはワインより虫のために存在しているようなものです(笑)。ワインセラーを置く部屋の室内は、20℃〜24℃にキープする必要があります。

実際に遠藤選手が使っているワインセラー改め虫用棚

──犬や猫に比べて飼育代がかからないと聞いたんですが、それでも200匹いたら費用がかかりませんか?

遠藤:幼虫のうちは、基本的には土に入れて放置するような状態なので、餌代はかからないんです。土も1袋1000円程度。それも月に1袋使うか使わないかですし。成虫になってからもエサ用のゼリーを定期的にあげればいいだけなので、犬や猫ほどはかからないかと思います。餌代よりも電気代のほうが多少かさむかもしれませんが。

──毎日お世話するんですか?

遠藤:幼虫は数カ月に1回、土を交換するくらいです。成虫の場合はエサのゼリーを2〜3日に1回あげます。スイカなんかを食べるイメージがあるかもしれませんが、あれはケースに入れておくと悪くなってしまうのでゼリーが一番いいですね。おしっこはするので、定期的にケースの掃除もしますよ。

──プロレスラーは地方巡業が多いと聞きますが、家を空けても大丈夫なんですか?

遠藤:部屋の温度管理さえしっかりしてれば全然大丈夫です。ただ、夏場に停電が起こったら終わりです。もう試合どころじゃなくなっちゃいますね。そんなことが起きた日には、試合中でも家に帰ると思います(笑)。

──200匹の我が子の命がかかってますもんね!

遠藤:夏場の停電は本当に怖いです。それ以外は、散歩に行かなきゃいけないとかもないし、一人暮らしの人も飼いやすいペットだと思います。

──コミュニケーションはとれるものなんですか?

遠藤:手に乗せて触ったりするんですけど、昆虫はなつかないっすね(笑)。でもケースの蓋をあけた瞬間にちょっと反応してくれるので、「わかってくれてるのかな?」と思うこともあります。

大人しく遠藤選手の手に乗るタランドゥスオオツヤクワガタ

──昆虫は寿命も短いですよね。

遠藤:そうですね。だいたい1年〜1年半くらいで寿命がきます。でも亡くなったクワガタやカブトムシは自分で標本にして残しておいてますよ。

──初心者でも卵から成虫まで育てることはできるんですか?

遠藤:種類によって難易度が違います。その昆虫の原産地の環境を再現する必要があるので、温度管理が難しい種類もあります。僕が飼育していた中で難しかったのは「ウエストウッディ カズミアエ」という種類のクワガタです。これはそもそも値段が可愛くなくて……一世一代の買い物だったので、亡くなった時はショックでした(苦笑)。もちろん初心者でも世話をしやすい種類はあります。ニジイロクワガタは飼育も比較的簡単ですし、色も綺麗なので人気ですよ。

──飼育をする中で一番喜びを感じる瞬間はどんな時ですか?

遠藤:僕はやっぱり卵が幼虫にかえった時がテンション上がりますね。第一関門突破の瞬間なので。ここを突破してやっとスタートラインに立てた喜びを得ることができます。成虫同士を交尾させて卵をを産ませても、そこから孵化しないことも多いですから。それこそさっきのウエストウッディ カズミアエは特に難しかったですね。

──昆虫の飼育は命のすべてを司る作業なんですね。

遠藤:成虫同士を交尾させて、産卵して、卵を育てて、幼虫になって羽化して、成虫になったものをまた交尾させて……と、命のサイクルをつなげていくことにやりがいと楽しさを感じるんです。

──卵を産ませるところから世話をするということは、まずは成虫のオスとメスをセットで購入するんですね。

遠藤:そうですね。

──違う種類同士を交配させて、新しい種類を作るなんてこともあるんですか?

遠藤:僕はないですね。そもそもクワガタ・カブトムシを飼育する方々にはその種を尊重する文化があるんです。なので、同じ種類同士でしか交配させないんですよ。マニアックなブリーダーの方だと生まれた市区町村だけではなく採れた山までこだわる人もザラにいます。

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