猫パルボウイルスの脅威、飼い主が気を付けるべき感染症対策とは?

2022/10/12 15:00

GettyImagesより

 タレントで「猫カフェ mfmf(モフモフ)」の動物取扱責任者である多田あさみさん。そんな多田さんが猫ちゃんに関する質問にお答えする連載が「にゃんことの暮らしQ&A」です。  

 今回は、猫とジオラマ鉄道をウリにした猫カフェ、ジオラマ食堂で猫のパルボウイルス感染症が発生した件を取り上げます。SNS上では、同カフェのパルボウイルス感染症対応に批判の声が上がり、近隣の猫カフェがジオラマ食堂利用者の入店を断る声明を出すなど、注目を集めました。

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パルボウイルスに感染した猫・犬の死亡率は高い

 多田さんは動物取扱責任者の立場として、「言葉が出ない、動物を扱う仕事として絶句する対応だった」と語ります。パルボウイルス感染症の原因となるパルボウイルスは耐性力や感染力が高く、感染すると猫・犬ともに死亡率が高いことで知られています。多田さん自身パルボウイルスを持った猫と関わったことはないものの、動物取扱業者として、保護猫を引き受ける立場として、パルボウイルス感染症をはじめとした感染症に対する情報や知識のアップデートは欠かせないと言います。

 パルボウイルス感染症(以下、パルボ)の脅威や、飼い猫の感染症対策のために重要なことをお話いただきました。

――今回のジオラマ食堂さんの件は、SNS上で批判の声が集まりました

 動物取扱業者からしたら、言葉が出ない、絶句の対応でした。パルボという感染症は、致死性が高く、子猫に関しては99%死ぬと言われています。胃や腸の粘膜が剥がれ落ちて、上から血の混じった嘔吐物を吐いて、下からは剥がれた腸の粘膜とともに、血便が出ます。水も飲めず、骨と皮の状態になって、衰弱して亡くなるとても苦しい死に方をする大変怖い感染症なんです。

 更に、この感染症の恐ろしい所は、致死率が高く猫が苦しむという点に加えて、感染力がものすごく強いという事。猫が直接パルボに感染した猫に接触しなくても、人がパルボに感染している猫を触って、その手で病気じゃない猫をなでる、それだけでもうつる可能性が大きくあるのです。

 ということで、SNS上では、ジオラマ食堂さんがパルボを出して消毒が不完全と思われるまま営業を再開するのかといった不安視した声が上がり、お店から周囲の猫ちゃんへ感染が広がるのではと心配になっている方が多いという印象です。

――飼い主さんが自分の猫を感染症から守るに当たり知っておくべき、実践すべきことを教えてください

 パルボへの感染予防は猫ちゃんの定期ワクチン(3種混合ワクチン)を打つことに尽きます。パルボは感染力が非常に強いため猫たちに蔓延します。感染してしまうと子猫は99%死に至るという恐ろしい病気ですが、それを唯一予防できるのがワクチンです。感染力の強い蔓延しやすい感染症なので、定期ワクチンの項目の中に入っています。

 後は、猫ちゃんがキャリアと接触する機会をつくらないこと。そのためには飼い猫を外に出さない。違う猫ちゃんと接触させないことです。また、飼い主さんが安易に野良猫を触ってしまうことも危険です。飼い主さんはウイルスを家に持ち込まないための行動を徹底する必要があります。

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