成猫を迎えるメリット 欧米と日本との違いは?【獣医師解説】

2022/10/19 22:00

pixabayより

 少し前まではペットショップで一目惚れした子猫を購入する、もしくは偶然出会った野良の子猫を保護してそのままお家で飼うといった方法がほとんどでした。

 しかし、最近では“保護猫”が社会に広く認知されるようになり、シェルターから譲渡を受けるという方法も知られてきました。ペットショップではそのほとんどが子猫である一方で、シェルターには様々な年齢の猫が保護されており譲渡会に足を運ぶと里親を募集している成猫も多いです。

 今回はそんな“成猫”を迎えるにあたって知っておきたいことをお話しします。

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子猫とは違う成猫との生活

 とても愛らしい子猫の時期から育てたいという気持ちもよくわかりますが、そこから成長した成猫との暮らしもまた違う一面があります。

・活動性
 元気いっぱいで家中を縦横無尽に走り回る子猫期〜若齢期の猫ちゃん。元気があるのはとてもいいことですが、昼夜を問わず家中で運動会をされると流石に飼い主さんも参ってしまいます。そういった点では性格的にも少し落ち着く年齢まで成長している成猫の方が一緒にまどろんだ時間を過ごすことができそうですね。
・しつけ
 猫はあまりトイレのしつけをしなくても成長をしていく中で自然と覚えてくれることが多いですが、子猫の時期はまだちゃんとトイレを覚えられていないこともしばしばです。どこでトイレをするのかわからず、ベッドやソファなどして欲しくない場所でされてしまうなんてことも。一方で、成猫ではすでにしっかりと猫トイレでしてくれる習性がついているので困ることも少ないです。
・体が丈夫
 本来であれば母猫が授乳し育てるような時期のか弱い子猫では、体温を常に一定に保つだけではなく、頻繁にミルクを飲ませたりと目が離せません。また、もう少し成長し離乳をする時期になってもまだ体の免疫がしっかりしていないので猫風邪や胃腸炎などで体調を崩しやすいです。一方で成猫では、すでに体が成長しているのであまり病気がちでなく、ワクチン接種が終了していれば猫風邪もひきにくくなります。

 他にも成猫には成猫ならではの魅力や良さが数多くあります。飼い主さんによっては子猫よりも成猫の方が合いそうという方も多いのではないでしょうか。

日本の現状

 動物福祉が進んでいるヨーロッパの国々では動物の飼育に関する法律、規制も厳しく、フランスでは2024年からペットショップでの生体販売が禁止されることが決まっています。そういった国々では動物を飼うときはシェルターから譲渡を受けることが当たり前になっていますが、残念ながら日本ではペットショップで新しく購入して飼うという方が多い印象です。

 加えて、譲渡会をみてもやはり子猫に人気があり譲渡率も高い、一方で成猫は譲渡が成立しないまま施設内で年齢を重ねそのまま施設内で一生を終えるということもあります。

 子猫の可愛らしさも魅力ですが成猫には成猫の魅力や強みもあります。新しく猫を飼いたいと考える時には、保護猫施設から成猫を譲り受けるという選択肢を加えていただけると嬉しく思います。

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文=長谷川諒

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