身勝手な理由で捨てられ保護されるうさぎたち 「イメージと違った」「懐かなかったから」

2022/11/04 15:00

保護うさぎを迎えるときに気を付けること

SAVE THE RABBITSより

——保護うさぎをお迎えする際の注意点はありますか。

 うさぎを飼ったことがないのであれば、まずは飼育本などを通じてうさぎのことをよく知っていただきたいです。

 そのうえで注意すべきなのは、インターネットで里親募集をされているうさぎが増えていること。SNSでやり取りをし、相手の情報はハンドルネームしかわからないまま、駅で受け渡しをすることも多いようです。ただ、引き取った人がうさぎを遺棄したり虐待したりといったトラブルがあった際、SNSだけしか知らないと連絡が途切れてしまうこともあります。

 里親募集をする側も、引き取る側も、SNSアカウントやメールアドレスだけでなく、氏名や電話番号など相手の情報をきちんと確認したほうがいいと思います。

——WILL&LOUISで譲渡する際にはどのようなことに気を付けていますか。

 命を人に譲渡するということは、託したうさぎの一生を私が決めるということになります。そのような責任重大なやりとりをすることになるわけですから、たくさんお話ししたり、聞いたりします。うさぎの食餌や基本的な飼い方もご説明します。そして、スタッフがうさぎを連れて里親希望者のおうちまで行き、飼育環境などご確認させていただいています。

 約1カ月間のトライアル期間を設けていて、トライアル期間が終わると再度おうちへ伺い、うさぎの状態を見たり、うさぎの様子を聞いたりします。その段階で、「やっぱり飼うのは難しい」と里親さんが判断することも可能ですし、不安な要素がある場合はトライアルを延長させていただくこともあります。手間ではあるものの、一度人間の手によって捨てられたうさぎが2度と同じ思いをしないよう、時間をかけて慎重に譲渡を進めています。

 その他、譲渡の条件はホームページで公開しているのでご覧ください。

「飼わない」という選択も大切

SAVE THE RABBITSより

——動物愛護の観点において、うさぎは犬や猫に比べて注目が集まっていないとのことですが、どういう変化が起きてほしいですか。

 法的には遺棄したら一年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金というルールがあります。しかし、現実にはうさぎが何十匹も遺棄されているようなときでも、行政が動くのは難しく、動物愛護団体が寄付を集めたり、自分たちで費用を捻出して里親募集をしたりと、ボランティアが動いている状態です。

 うさぎを「捨てる」という行為が犯罪だという認識がとても薄いと感じます。自分が捨てたとバレなければいいという思いがある人も少なからずいるかもしれません。

 動物愛護関連の法律や条例で、犬と猫は対象になっているものの、うさぎは含まれていないこともあります。世間の風潮としても、うさぎは犬や猫より下等動物として扱われることも多いです。犬と猫に比べて、うさぎは飼ってないと身近に感じない生き物だと思いますが、同じ命であることは認識してほしいです。

——2022年6月からペットショップやブリーダー経由で販売される犬と猫にはマイクロチップ装着が義務化されていますが、うさぎにも義務化された方がいいと思いますか。

 犬と猫のマイクロチップは迷子対策がメインだと思いますが、うさぎは犬と猫に比べて外に出る機会がないので、迷子になる確率は低いです。なので、マイクロチップの意味があるかは疑問に思います。私自身は今から自分のうさぎにマイクロチップを入れてください、と言われたら抵抗感はあります。

 ただ、飼い主に責任を持たせるという意味で、遺棄や飼育放棄されたときに罰則化につながるなら個人的には賛成です。

——来年2023年はうさぎ年で、ブームとしてうさぎを飼う人が増えることが予想されています。うさぎを飼おうか考えている人にメッセージをいただけますか。

 うさぎの寿命は10年を超えることも珍しくなくなりました。10年後まで本当に責任を持ってお世話を続けられるか、よく考えていただきたいですし、考えた結果「飼わない選択」をすることも立派なことです。

 私が飼っているうさぎは来年12歳で、うさぎ年生まれの子です。つまり、来年2023年のうさぎ年にお迎えしたうさぎは、次のうさぎ年(2035年)まで生きていることもあり得ます。

 私たちは、元々飼われていた子たちが保護うさぎになるのを見てきましたが、苦渋の決断で手放さざるを得ない方もいるものの、9割が飼い主の身勝手な理由です。

 特に若い方は、結婚や出産などのライフイベントを機に「子どもが生まれるので衛生的に心配」「実家を出るときに誰も面倒を見る人がいない」などの理由で手放すケースが少なくありません。高齢の方の場合、離婚、世話をしていた子どもが家を離れた、病気や入院、死亡などもあります。10年後にうさぎの面倒(介護なども視野に入れて)を見られるかを想像していただきたいです。

 私が現在飼っているうさぎはペットショップからお迎えしました。最初はうさぎのことをなにも知らなくて、イメージとのギャップから大変に感じたこともあったのですが、知らないことを知るのは楽しくて「うさぎをもっと知りたい」と思えました。ただ、人によっては「手に負えない」と感じる方もおり、そういう人はもともとペットを飼うことに向いていないかもしれません。

 人生にはさまざまな転機がありますし、人によって生き物のお世話の向き・不向きもあります。10年以上飼い続けられるか、最期までお世話をできるか、よく考えてからうさぎをお迎えしてほしいです。

※SAVE THE RABBITSの2023年チャリティカレンダーはこちらで販売中です。

文=雪代すみれ

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