猫の口のトラブルサインとは?健康な口内環境は長生きの秘訣【獣医師監修】

2022/12/02 17:00

pixabayより

 ヒトと違い毎日、毎食後しっかりと歯磨きをすることがなかなか難しい猫ちゃん、実は2歳以上の70%の子で何かしらのお口のトラブルを抱えていると言われています。トラブルとしてヒトでは虫歯が圧倒的に多いですが、猫の口の中はアルカリ性でそのpH(水素イオン指数)の違いから虫歯にはなりにくいです。一方で歯周病など歯茎のトラブルを起こしやすく、進行してしまうと重大な内臓疾患につながることもあります。今回はそんな猫ちゃんのお口トラブルについて解説します。

意外と怖い歯周病

 歯と歯の間やくぼみがあるところに食べカスである歯垢が溜まってくると、そこで歯周病菌が繁殖してしまいます。歯周病とはこの歯周病菌が繁殖し歯肉に炎症を起こし出血したり、赤く腫れたりしてしまう病気です。初期の段階ではあまり目に見えての症状がないのでついつい見過ごされがちですが、歯の出血ポイントから歯周病菌が血流を伝って心臓や肝臓、腎臓にまで波及してしまい内臓疾患の原因となることもある実は怖い病気なんです。

歯周病を悪化させる歯石

 食べカスである歯垢を掃除しないまま放置すると5日程度で石灰化し硬い歯石になってしまいます。この歯石こそが歯周病を悪化させる大きな要因のひとつです。歯周病菌繁殖の温床になる歯石ですが、歯ブラシでこすったぐらいでは簡単に取れず放っておくと加速度的に歯周病が進行してしまします。歯周病が進行すると歯茎がどんどん短くなり、次第に歯を支えることができずグラグラと動くように、そうなると食べることにも影響してきます。最終的には全身麻酔下で歯石除去や場合によっては抜歯とかなり大ごとになるので進行のサインを見逃さないようにしましょう。

歯周病のサイン

 そんな歯周病ですが、初期の段階ではなかなか気付けないことも多いです。では日々の生活でどのようなポイントをチェックしてあげれば良いのでしょうか?

ポイント1 歯茎の赤み、腫れ、出血
 歯と歯茎の境目が赤くなっていたり、腫れていないか確認しましょう。他の場所の歯茎と比べて明らかに赤みがあれば炎症を起こしているサインです。また、炎症が進行すると組織が脆くなり、ちょっとした刺激でも出血をするようになります。この段階でこれ以上進行しないためにも動物病院で予防を相談しましょう。

ポイント2 ヨダレが多い
 歯茎の炎症が刺激となり、常にヨダレが出続けている状態になることがあります。加えて、食べるスピードが遅くなる、食べる時ににくちゃくちゃするといった症状が出てくることもあります。歯周病が中程度に進行しているサイン、さらに進行すると食べるときに痛みを感じるようになるので出来るだけ早く治療をしてあげましょう。

ポイント3  食べるときに痛がる
 炎症が重度になり、グラグラと不安定な歯があると食べ方に違和感や痛みがあり場合によっては食べながら痛みで鳴く子もいます。他にも口の周りにまで炎症が波及し、クシャミが増える、目の下が腫れる、目ヤニは増えるといった症状が出ることもあります。この状態を放置しておくと命に関わることもあるので、今すぐ治療をしてあげましょう。

まずは口の中をチェック

 進行するとただのお口トラブルでは済まない歯周病。ヒトと違い猫ちゃんはどうしても毎日のケアが難しいことも多いので、気づいた時にはかなり歯周病が進行しているなんてこともしばしばです。痛くて食べられないようになってから動物病院に相談するのではなく、まずは今の愛猫の口の中の様子をしっかりと確認し、上記のようなサインがある場合には早め早めにかかりつけの獣医さんに相談しましょう。健康な口内環境は長生きさんの秘訣です。

文=長谷川諒

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