猫の多頭飼育、メリットや気を付けたいポイントとは?【獣医師監修】

2022/12/13 15:00

pixabayより

 偶然の出会いから猫を飼い始め、その魅力に取り憑かれて次第に頭数が増えていったという飼い主さんは私だけではないでしょう。しかし、1頭だけで飼う(単頭飼育)のと2頭以上で飼う(多頭飼育)のでは日々の生活の中で気をつけるポイントも変わってきます。今回は多頭飼育に目を向け、メリットや多頭飼育ならではの気をつけるポイントを解説します。

多頭飼育のメリット

 私も3頭の多頭飼育なのでよくわかりますが、飼い主さんにとってのメリットはなんといっても“癒し”に尽きると思います。ある研究によれば猫を愛でることにより脳内ホルモンの分泌が活性化され、幸福度が上がると言われています。その一方で、猫にとってのメリットはあるのでしょうか。

 猫はもともと群れを作らずに単独行動をする動物なので単頭飼育の方が合っているという意見もあります。もちろんこれはケースバイケースですが、猫同士の相性が良い場合はじゃれあって遊んだり、追いかけっこをしたりと運動でストレス発散になるだけでなく、毛繕いをしあったり、一緒に寝たりと必ずしも悪いものではないようです。あくまでそれぞれの猫の性格によるところが大きいので、相性が合うのであれば多頭飼育もよいものではないでしょうか。また、保護猫の譲渡などでは相性を見るためにトライアルの期間を設けているところも多いです。

多頭飼育で気をつけるポイント

 多頭飼育で気をつけることは個々の猫ちゃんの健康状態をそれぞれしっかりと把握することに尽きます。例えば食事ひとつとっても共用のフード皿であったり、簡単に盗み食いできる環境であればどの子が食べて、どの子が食べていないのかなかなか正確に把握することが難しいです。全体的にフードは減っているからみんな食べていると思っていたら、ある子が体調不良で食べていない分を他の猫が多めに食べていて病気の発見が遅れてしまうなんてこともしばしば。

 また嘔吐や下痢、血尿の跡を見つけても誰がしたのかすぐにはわからないことが多いです。部屋に一緒にいるときに症状が出ればすぐに気付けますが、留守中だとどの子か特定するまでに時間がかかり治療が遅れてしまうことも。中には“疑わしきは”で、おうちの猫ちゃん全頭を動物病院につれて来られる飼い主さんもいらっしゃいます。

飼い主さんができること

 気を付けるポイントが多くある多頭飼育ですが、飼い主さんができることはただひとつ。それぞれの猫ちゃんの様子をよく見て、毎日の健康状況をしっかり把握することです。

 お仕事などで留守がちになり、なかなか毎日しっかりと様子を見れないという飼い主さんは文明の利器の力を借りるのもいいですね。近年では高性能なペットカメラ、体重や尿量を計量できるスマートトイレ、愛猫の行動を見守るスマート首輪などお助けグッズが様々あります。

 もちろん実際の尿の色や便の形をみるのは飼い主さんの役目ですが、色々な側面から愛猫の健康状態を把握できるに越したことはありません。これらのことに注意してあげられると多頭飼育は飼い主さんだけでなく、猫ちゃんにもより良いものとなるでしょう。

文=長谷川諒

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