知っているようで知らない三毛猫のこと【獣医師監修】

2023/01/16 20:00

pixabayより

 被毛が白・茶・黒の毛色で入り混じる猫、いわゆる“三毛猫”。特徴的な毛色が愛らしい三毛猫ですがその性別はメスが圧倒的に多いということをご存知でしょうか?これには毛色を決める遺伝子が深く関わっていると言われていますが、この研究を進めている九州大学のクラウドファンディングが昨今大きな話題を呼んでいます。今回はそんな知っているようで意外と知らない“三毛猫”についてお話しします。

三毛猫は猫種ではない!?

 日本では見かけることの多い三毛猫ですが、実は三毛猫というのは猫種ではなく単に被毛のパターンを表しています。この白、茶系、黒系という三色の被毛が入り混じるパターンはキャリコと毛色表記され、英語で三毛猫はCalico cat(キャリコキャット)と呼ばれます。古くからいる日本の雑種猫に多い三毛柄、意外と知られていないことですが血統種にも三毛柄は多く存在します。例えばスコティッシュフォールドやマンチカン、ノルウェージャンフォレストキャットなど起源や地域に関係なく、三毛柄の猫ちゃんは世界中にいるのです。

三毛猫はメスばかり

 “三毛猫はメスしかいない”、言わずと知れた猫知識ですが、その理由までご存知でしょうか。正確にはメスしかいないわけではなく、遺伝子の突然変異で3,000〜30,000頭に1頭程度の確率でオスの三毛猫も生まれることがあり、これには三毛の毛色のうち茶・黒を決める遺伝子が、性別を決める性染色体上にあることが関係していると言われています。この説は今から約60年前に提唱されましたが、その実体は未だに解明されておらず、三毛猫の毛色を作る遺伝子についてはっきりと分かっていません。

 最近では九州大学を中心とした「三毛猫遺伝子探索プロジェクト」が発足され、猫好きの研究者によりこの謎の解明が進められ話題となっています。ヒト医療ではゲノム解読はがんなど様々な病気の克服のために利用されているように、このプロジェクトの中で得られる猫のゲノム情報は三毛の謎解明だけでなく、将来の獣医療や猫ちゃんの病気解明に役立つことが期待できるので一石二鳥ですね。

三毛猫は縁起がいい?

 長い歴史の中で日本に根付いている三毛猫は招き猫のモチーフになるなど幸運を呼ぶ猫として親しまれてきました。その理由として
・“三”という数字が日本では縁起がいいとされている
・白は「招福」、黒は「厄除け」、茶は「無病息災」を意味する
など諸説あるようですが、中でもオスの三毛猫は特に縁起がいいとされていたようです。

 オスの三毛猫は”天気を予知することができる”といった言い伝えにより、古来よりオスの三毛猫が船上で守り神として特に漁師さんに大切にされ、第一次南極観測隊では航海の安全を願いオスの三毛猫である「タケシ」が同行し南極観測船・宗谷に乗船したと言われています。そんな幸運を招く三毛猫、三毛飼いのみなさんにも幸せを運んでくれるといいですね。

文=長谷川諒

Instagramキャンペーン フォロー&いいねでプレゼントが当たる!