猫の尿検査で何がわかる?家でのチェックポイントも【獣医師監修】

2023/02/01 18:00

画像はイメージ:GettyImagesより

 健康診断と言えばまずは血液検査!というイメージも強いかと思いますが、尿検査も血液検査と同じくらい大切な検査であることをご存知でしょうか?もちろん血液検査は全身の健康状態を把握する上でその土台となる重要な検査、それと比べると尿検査はどこか脇役的な印象があり血液検査をしっかりしていれば尿検査までは必要ないでしょと言われる飼い主さんもいらっしゃいます。

 果たして尿検査は本当に脇役なのでしょうか?今回は尿検査の大切さとおうちでもチェックできるポイントについてお話しします。

おしっこで何がわかる?

 人間の健康診断でもメジャーな尿検査の起源は紀元前2000年頃にまでさかのぼり、患者の尿にアリが集まったところから病気のヒントを発見したことに由来すると言われています。現代では尿検査と一口に言っても検査できる項目は様々あり、
・おしっこの濃さである尿比重
・尿蛋白、尿糖、pH、ビリルビン、潜血、亜硝酸塩などの化学的性状
・結石や細菌、細胞などの出現の有無
など、一度にたくさんの身体の情報を知ることができます。

 そもそもおしっこは身体の環境を一定に保つために、腎臓で血液をろ過して老廃物として作られるものなので、おしっこの状態は腎臓の機能だけでなく、肝臓などの臓器や身体全体の状態をそのまま表しているとも言えるでしょう。

血液検査とセットで考えよう

 血液検査だけや尿検査だけでは病気の早期発見ができないこともしばしばですが、これらの検査結果を組み合わせて考えることで見えてくることはたくさんあります。

 例えば高齢猫に多い慢性腎臓病、病気がある程度進行しないと血液検査に異常が表れませんが、それよりも早くにおしっこの濃さである尿比重の低下、つまりおしっこが薄くなる症状が出てきます。一方で、猫は興奮をし過ぎると一時的におしっこに糖分が出てくることがあるので尿糖があるだけですぐに糖尿病とはなりませんが、血液検査で血糖値が継続して高いと糖尿病の裏付けになります。

 このように血液検査だけや尿検査だけでは足りない情報があるので、病気の早期発見・早期治療のためにも両方の検査をセットですることがとても大切になってきます。

おうちでできるチェックポイント

 おしっこの色や臭いがいつもとどこか違うなんてことはありませんか?

 動物病院での尿検査とまではいかなくとも、おうちでチェックできることもあります。いつもより色が薄ければ慢性腎臓病や糖尿病といったいわゆる“多飲多尿”になる病気の可能性がありますし、異常に黄色が濃ければ肝臓の障害、血尿であれば腎臓や膀胱など泌尿器からの出血などおしっこの色からだけでも様々なことが疑われます。また臭いも重要なポイントのひとつで、泌尿器に細菌感染を起こしていると生臭いこともあります。

 おうちでの日々のチェックで気付けることはたくさんあるので、毎日のトイレ掃除からよく観察して異変を感じたら元気食欲があっても動物病院の受診を考えてあげましょう。

文=長谷川諒

Instagramキャンペーン フォロー&いいねでプレゼントが当たる!