TNRを行い地域猫だった猫たち すあま商會で保護するに至ったワケ

2023/02/28 18:00

すあま商會より

凄まじい姿で保護された留女ちゃん

 出会ったとき、留女ちゃんは見るからにおばあちゃん猫でした。保護された動物の年齢を知るためには皮膚や毛、そして目などを確認しますが、肝となるのは歯の様子です。ところがヨボヨボの留女ちゃんは歯がないので、何歳かがわかりません。歯がない理由が果たして、野良という過酷な環境でろくなものが食べられずに栄養が足りなくて抜け落ちてしまったものなのか、年齢を重ねて歯周病などになってなくなってしまったのかも分かりません。

 それに加えて長毛だった留女ちゃんの毛は、長期にわたる野良生活で絡まりに絡まって、たくさんの頑固な毛玉ができていました。顔周りもよだれでベトベトになっていて、とにかく、保護されたときの留女ちゃんは凄まじい姿でした。

 留女ちゃんは付近の人たちに餌をもらいながら、ある民家の縁の下で暮らしていました。後にTNRをしましたが6年ほど前に1回出産していて、それは可愛い茶トラの子猫たちを産みました。可愛い子猫たちは、その家の人が飼うことになりました。ですが子猫たちがぬくぬくと暖かい部屋の中で暮らしている一方で、留女ちゃんは寒くて暗い縁の下でずっと暮らしていました。留女ちゃんは何も食べずにどんどん弱っていきました。おそらく歯が痛くて食べたくても食べられなかったのでしょう。もうあとは死を待つばかり…のところを「せめて温かい家の中で看取ってあげたい」と、猫の保護活動をしているすあまさんの友人が保護してすあま商會に来たのです。2021年12月29日、寒い日のことでした。

 病院に連れていかれた留女ちゃんは入院して歯の処置などをしてもらい、隔離期間中はその友人宅で一時的に預かられました。歯の痛みも取れたようでやっと食べられるようになった留女ちゃんでしたが、その日の夜、夕飯を済ませた留女ちゃんはトイレに使用していた“おから”でできた猫砂を、なんと半分も食べてしまったのです。翌朝、満腹になってポンポコリンで動けなくなっていた留女ちゃんは、駆け付けたすあまさんによって元旦から病院に運び込まれることになりました。結局、自力で排泄して事なきを得ましたが、留女ちゃんにとって食べられない期間がどれだけ辛かったのかと思うといじらしくなってしまうハプニングでした。

 留女ちゃんはとても凶暴な状態だったので、お手入れなど到底させてくれません。そのため、たくさんできた毛玉は診察で鎮静剤を打って寝ている隙にすあまさんがカットしました。毛玉はとても臭く、中からは石や小枝がたくさん出て来ました。さぞ重かったことでしょう。身も心も軽くなり、歯も綺麗にしてもらった留女ちゃんはすあま商會で少しずつ少しずつ、新しい環境に慣れていきました。

里親募集中の留女ちゃん、愛称は『留女ばあ』

すあま商會より

 すあまさんは言います。「留女ちゃんはまだシャーシャー言うし、パクッとされることもあるけど、歯がないので全然痛くないんです(笑)。もうおばあちゃんなんだけど、やることなすことがなんか可愛らしくて憎めないんですよ。例えば保護猫部屋に新しいクッションなどを置きますよね。そうすると留女ちゃんは必ず1回はひと通り試すんです(笑)。そういうところもとても可愛い。前は誰かが部屋に入るとバーッて逃げていましたが最近は逃げなくなってきましたし、私が掃除をしているとご飯をおねだりに来たりするようになりました。」

 そんな留女ちゃんですが、以前のくっしー同様、最近では“留女ちゃんファン”も増えてきています。『留女ばあ』、の愛称で親しまれる愛嬌たっぷりのおばあちゃん猫の留女ちゃんに、ずっとのおうちが見つかるよう、ファンのみんなが応援してくれています。

すあま商會

営業時間

11:00 ~19:00 (水・木 定休日)

臨時休業などの情報はお店のTwitterやInstagramで要チェック。

HP

Twitter

Instagram

文=春錵かつら

Instagramキャンペーン フォロー&いいねでプレゼントが当たる!